稲刈り後の田。灌漑がある村では12月に田植えとなる。収穫直前に大雨が降るという大波乱の幕開けとなった稲刈りもほぼ終わりつつある11月、各村の稲刈り後の田には、稲藁の茎が根を張ったまま残されています。この後、田には牛が放牧され、残った稲藁は牛の餌となります。多くの村では、再び田植えが始まる雨期の5月頃まで、土壌が乾燥し、何も植えていない茶色の田の景色がひろがっています。一方で、灌漑施設が導入されている村では、乾期作が可能で、12月〜1月に田植えが始まります。6年程前から灌漑施設が導入されているヒンブン郡のT村でも、乾期の稲作がそろそろ始まろうとしていました。T村では、JVCが技術支援している幼苗一本植え(SRI)(ページ下部参照)の話を聞き、ぜひ実施してみたいという声が出てきており、関心のある家庭を対象に研修を行いました。
T村でSRI実践に関心があるのは、4家庭。この4家庭は数週間前にSRIを実践している村との経験交流に参加し、1本の苗が多く分けつし、たくさんの穂が実っている様子を実際に見学しました。SRI実践にかかるコストが化学肥料使用よりもずっと安価であることを知り、今度は自分たちの田でも実践してみようと、苗育成前からの準備のため、村長宅に集まりました。
堆肥用の菜っ葉を計量中。皆で昼食をとって和んだ後、早速、苗の育成に必要な堆肥づくりを始めました。堆肥づくりには、ホーイ(ラオス語で貝という意味)を砕き、砂糖をまぜ、菜っ葉を使います。「貝1kg、砂糖1kg、 菜っ葉3kg、、、」と混ぜ合わせる材料のバランスのポイントをJVCスタッフが説明。村長さん宅の軒下での作業に、畑や川から戻って通りかかった村の人々が一人、二人と興味深そうに集まってきて、総勢15人ぐらいになりました。作業を進めるうちに、他の村人達からも、「材料には、砂糖じゃないとダメなのか?甘いものを入れる必要があるなら、バナナの花じゃダメなのか?」など次々と質問があがり、JVC作成の「堆肥づくりのハンドブック」を手にとり始め、多めに準備しておいたハンドブックはあっという間に無くなってしまいました。
通りかかった人々も、ハンドブックを手に取り共に学び始めた。
堆肥づくりのポイントを模造紙に書き出してレビュー。1時間程の作業を改めて模造紙にまとめながら、皆で復習。米の収穫をあげるSRI技術の話に触れていなくても、堆肥づくりの話だけで、村の人々は驚嘆。大きく頷きながら、メモを取って最後まで参加していました。農作物づくりに欠かせない土。その土の肥沃度をあげることに村の人々の関心は高く、土が村の人々にとって大切なものであり、かつ、課題ともなっていることを改めて認識させられる場面でした。
ダム建設の影響で水量が増した川を、舟で渡って辿りつくT村。幼苗一本植え(SRI)
化学肥料や機械を使わずに米の収量を上げる方法として導入している。、種まき後まだ苗が小さいうちに、通常よりも広い25cmほどの間隔をあけ、1本づつ植える。このように植えた苗は分桔が多くなり、一つの苗(株)からたくさんの茎が育ってより多くの米が実る。農薬や化学肥料に依存せず、水が少ない地域でも取り組める。