私はもうずっと前から、この日を待っていました。ついに新しいプロジェクトがスタートです!!
JVCが14年近く続けてきた地域保健の取り組みの主体を完全に現地に移管し、そのほかの課題にも取り組むため、村人たちと話し合い、具体的な準備を初めてから2年ほどが経ちました。
識字アクションの背景
アフガニスタンでは長い紛争や女子教育が禁止されていたタリバン政権時代(1996~2001)を経て、多大な損害を受けた教育の再構築が急務で、成人識字率は約3割(女性は2割以下)と世界でも最も低い国の一つです。とくに地方部では、施設や教員の不足、女子教育への制限、治安悪化などにより、教育環境はより厳しい状況です。
JVCがこれまで活動をともにしてきた村の人々からも、平和のため、貧困の克服のためにもやはり教育の普及が不可欠だが、就学年齢のときに教育を受けられなかった親の世代が、子どもたちの勉強を見てあげられないことが悩みである...などの声が聞かれていました。
しかし現行の制度では、15歳以上の人が正規の学校に入ったり、戻ったりすることは原則として認められておらず、労働や家事に従事する必要や自尊心などからも、非常に困難なこと。
そういった事情からJVCは、さらに調査を経た上で、特に教育環境が厳しい農村部であるこれまでの活動地の村々で、15歳の男女を対象としたノンフォーマルな識字アクションを実施することになりました。詳しくはこちらから。
識字アクションの特徴
この識字アクションでは、"できるだけ手作りの教室を!"と、地域にあるものを最大限活用します。学習者だけでなく、その家族や地域の全体でこの教育活動を支えていけるよう、村の人達と話し合い、まずは教室がある村ごとに、JVCとの連絡の窓口となったり何かあったら助けに入ってくれる存在である"パートナーグループ"(PG)を結成しました。
有志の長老たちがそのメンバーです。教室の場所は、先生の自宅、またはスペースを貸してくれる村人の家。「娘が危険な道を歩いて遠くの学校に通ったり、男性の先生から習うのには反対だけれど、近所の女性のお家で学ぶのであれば安心、本当は教育は大事だと思っている」という家族は多いです。
教材は、アフガニスタン政府が使用している識字の教科書と同じものです。(政府としても識字教育を進めているのですが、特に地方部でのニーズには追いついていない状況です。)
小学校3年生までに学ぶパシュトゥ語の読み書きと計算を内容を、9ヶ月で学ぶプログラムとなっています。このJVC識字アクションの一年目には、5つの村で、約300人の村人(うち9割が女性)が学習者として参加することになりました。
先生のこと
さて、この識字教室で最重要とも言えるキーパーソンが「先生」です。地域に根づいた教室とするため、先生は外部の人ではなく学習者と同じ村の住民に担ってもらうことになり、先生候補を募りました。
約一年間、先生を務めてくれる女性が果たして見つかるのかと少し心配していましたが、タリバン政権後に女子教育が制度的にも復活し、私たちの活動地でも数々のハードルを乗り越え(たのでしょう)、高校を卒業した女性たちが見つかりました!
いくつかの村では、募集人数の10倍ほどの女性が応募してくれ、試験と面接を経て、選びました。実は選ばれた先生のうち何人かは、これまでJVCが村人と進めてきた地域保健の活動でも記録を取るなど積極的に協力してくれた、頼れるボランティアさんでした。彼女たちが今度は識字教室の先生となってくれることに、とても感激しています。
教員トレーニング
高校を卒業したとはいえ、他の人に文字の読み書きを教えるためには当然そのための研修が必要です。JVCも、選ばれた教員たちに向けてアフガニスタン教育省・識字局からトレーナーを招き、教員のためのガイドブックを用いながら一週間の集中研修を実施しました!いわゆるTOT(Training of Trainers)です。
こうしてこの夏、いよいよ識字アクションが開始されたのでした。まだスタート地点に立ったところで、やっとこれから、なのですが、この教員研修の写真が現地から届いたときには本当に感涙ものでした・・・。
(※掲載写真は女性の姿をあまり公に出さない文化的理由で加工しています。)
ついに・・・!
現地の女性たちの姿を公開することがなかなかできないので残念ですが、判別できないくらいに加工すればOKと許可をもらいました。次回の報告では、始まって早速直面した課題や、参加者の声などを紹介する予定です。
識字アクションは、アフガニスタンの村の人々が、もう一度学ぶ機会を得て、そして子どもたちにもその大切さを伝える、とっても前向きなチャレンジです!
可能性を広げ、選択肢を増やしていくための未来への投資、ぜひ応援してください!識字アクションへのご支援はこちらから。