アッサラーム・アレイコム!
今回紹介するのは、「庭師」として診療所と簡易診療所の庭の整備や管理を行っているカン・ミルさんです。現在推定55歳(正確な記録がないため)で、アフガニスタンの長い紛争を経験してきたカン・ミルさん、どのような人生を送ってきたのでしょうか?そしてJVCでどのような仕事をしているのでしょうか?
彼はJVCの事業地であるゴレーク村の農家に生まれましたが、早くに両親を亡くし、子どものころから牛飼いの仕事をしていたそうです。そして13歳の時には結婚し(相手の女性は9歳)、2人目の子どもが生まれたころにアフガニスタン内戦が始まり、家族と共にパキスタンの難民キャンプに逃れました。
最初はキャンプ内で日雇いの仕事をしていましたが、ある日難民キャンプ内の事務所の庭師の仕事を紹介され、そこで11年ほど庭師を勤めたということです。これがカン・ミルさんにとって庭師としての最初の仕事でした。その後もパキスタンのペシャワールにあるホテルで15年庭師をし、2009年にアフガニスタンに帰国、JVCで庭師として働くに至りました。学校には行ったことがなく読み書きは出来ないとのことですが、庭師としてのキャリアは32年にもなるのです!
現在は7人の息子と2人の娘がおり、大家族で暮らすカン・ミルさんですが、イード(イスラム教の祝祭)の時には幼い時に亡くした両親を思い出すそうです。子どものときの思い出は?との質問には「政権がザヒール・シャー国王からダーウードへと移ったころ、私は牛を放牧していて、近くで2人の大人がこの政変に関して話していたのを覚えている」と答えてくれました。なんだか歴史を感じますね。(注:1973年、アフガニスタンでは元首相のダーウードが王政を廃止し自らが大統領兼首相に就任した)
さて、カン・ミルさんの仕事は朝早く、7時にはゴレーク村にある診療所へ行き午後2時まで作業をします。JVCの庭では化学肥料を使わずに、木の葉などから肥料を作り、木や花に使っているそうです。
また昨年から、毎週木曜日にはクズ・カシュコート村にあるJVCのもう一つの簡易診療所でも庭の整備をしています。庭の整備以外にも、時には守衛やその他の業務を行うこともあるようです。
仕事をしていて大変なのは、急に他の仕事が入ってしまうなど予定通りに花の世話を出来ない時だそうです。自然が相手だからこそ、急に仕事を休みにしたり、世話をしないでおいたりということが出来ないのでしょうね。
「庭師として働くことそのものが幸せだし、花がきれいに咲いたときは本当に嬉しいなあ」趣味は庭師として働くこと、と答えるほど庭師という仕事に誇りを持ち、日々花や木と向きあっているようです。
そんなカン・ミルさんから日本の皆さんに一言。
「まず、アフガニスタンを支援してくれていることを日本の皆さんに感謝したいです。JVCが私の村で行っていることは非常に良いことで、村人も満足しています。私たちにはまだ支援が必要ですので、これからもよろしくお願いします。」