ボランティアとして避難所でメンタルケアに当たっている看護師さんら二人に話を聞きました。
二人によると、避難所暮らしが4ヵ月近くになって、避難者の精神状態は、限界に近くなっているようです。看護師さんに言わせると、避難者だけでなく、避難者をお世話するスタッフも、かなりに追い詰められているそうです。その兆候が、どちらにも、不眠を訴える人が多いことだといいます。うつ病は、まず、不眠として現れることが多い病気です。
避難所では、声高に不平不満を訴える人もいますが、「わたしなんか生き残って、申し訳ない」「甘えてばかりいる」「申し訳ない」と、片隅にいて、自分を責める人も少なくありません。そういうタイプの人がピンチ、と言うのです。スタッフで言えば、黙々と仕事をこなすタイプの人が危ないと言います。
こういうタイプの人は、自分のほうから、悩みを打ち明けることはまれです。無理やり、話を聞こうとすれば、かえってストレスに感じてしまいます。まず、信頼関係を作って、その人を話す気にさせて、話を聞くという時間と技術が必要です。ですから、一泊二日などの短期の「傾聴」ボランティアでは逆効果のことさえあります。
ピンチにある人を救うには、避難所や仮設住宅を快適にすると同時に、避難者に接するスタッフや看護師や保健師などへの支援やトレーニングが必要、というのが、二人の結論でした。