ようやく始まった警戒区域への立ち入り、南相馬市の第1日です。今日約80人、明後日の27日にも約100人が一時帰宅します。立ち入りの希望者は3,300人を超えたそうですから、多くの方が次回以降になりました。私も「取材」に行きました。
60代の女性は「庭にイノシシとサルが来て、あちこちに穴をあけていた。丹精こめて育てた木もだいぶ枯れていて、涙がこぼれた。2時間の立ち入り時間は短かった。20分ほど仏壇の前にいたら、『頑張ってコ』と言われた気がした。並んでいたたくさんの位牌から、3年前に亡くなった母の位牌だけ持ってこようと思ったが、ほかのご先祖様が見ているようで、置いてきた」と話していました。
夫婦にも話を聞きました。夫のほうは「立ち入り禁止になる前にも持ち出していた。今回は青森県に避難している二人の孫が是非と言うので、集めていたカードを持ってきた」と話していました。妻のほうは、「妹が嫁入りのときに持ってきた帯をとってきた。この帯は一度、津波で流されてしまった。何度か探して、5,6百メートル離れた場所で見つけて、家に置いていた。妹はこれを見たら、また辛くなるかもしれないけれど、これを契機に気持ちを立て直して欲しい」と、泥で汚れた帯を見せてくれました。
規制が今の形になる前には、今の警戒地域に入ることもできました。近くに避難している人のなかには、なんども帰宅して物を持ち出した人もいました。また、後段の夫婦のように、子どもを連れた若い夫婦が県外に避難し、老夫婦、あるいは単身の親が地元の家や避難所に残るというケースも多いようです。