\n"; ?> JVC - 自衛隊は撤収、でも大切なのは「そのあと、どうするか」 - 南スーダン日記
2017年3月12日

自衛隊は撤収、でも大切なのは「そのあと、どうするか」

人道支援/平和構築グループマネージャー(南スーダン緊急支援担当) 今井 高樹
2017年3月12日 æ›´æ–°

3月10日、日本政府は南スーダンに派遣している自衛隊を5月末に撤収させることを発表しました。

 「治安が悪くなったことが理由ではない」と政府は強調しています。しかし公式には言えなくとも、実際には日本政府も今の南スーダンが紛争状態、あるいは内戦状態にあることを認めざるを得なくなったことは明らかだと思います。

現地では毎日のように各地で武力衝突が起き、国外への難民の流出が続いています。国民の3分の1が家を追われて避難生活を余儀なくされています。大統領派(政府)への反発は増し、先日も新しい反政府武装勢力が結成されています。

日本国内では「政府の判断は遅きに失した」「撤収の理由をごまかしている」といった批判が出ているようです。もっともな批判だと思いますが、それでもなお今回の決定は、日本の南スーダンへの関わり方を転換する、きわめて意味のある重要な決断だと思います。

日本政府はこれまで、「南スーダンは内戦状態ではない」「紛争当事者はいない」と言い続けてきました。自衛隊の派遣を続けるには「PKO5原則」が満たされている必要があったために、そのような無理な解釈をするしかなかったのでしょう。

しかし自衛隊の撤収を決めた今、もうそんな言い方をする必要はなくなったと思います。南スーダンが内戦状態にあるという現実を直視して、どうやってそれを終わらせることができるのか、キール大統領派だけでなく反政府勢力などすべての紛争当事者が参加する話し合いをどう実現するのか、周辺国をはじめ国際社会と協力しながらそのための働きかけをすることが、日本の役割だと思います。

安倍首相の会見では、自衛隊撤収の後、「国際社会と手を携えて、南スーダンの平和と発展のためにできる限りの貢献をする」という方針が表明されました。同時に発表された文書(「UNMISSにおける自衛隊施設部隊の活動終了に関する基本的な考え方」内閣官房、内閣府、外務省、防衛省)によれば、具体的には

  • 東アフリカ地域機構(IGAD)を通じた衝突解決合意の監視活動の支援など、政治プロセスの進展への支援
  • 宗教団体や青年団体など南スーダン国内の各種団体が国民対話に参加できるようにするための支援などの国民対話支援
  • 公務員の財政管理能力の構築支援、警察能力の強化などの人材育成
  • 食料援助を含む人道支援

といった支援が挙げられています。

さすがに「反政府勢力も国民対話に参加できるような支援」とは書けないのかも知れませんが、いずれにせよここに掲げられた内容は、自衛隊派遣を中心とした従来の方針からは大きな転換です。

これまで派遣された自衛隊員の方々は、遠く離れた地で大変なご苦労をされてきたと思います。現在ジュバにいる350人の隊員の方々も、無事に任務を終了されて家族の元に戻られることを祈ります。

しかし同時に、南スーダンと周辺国の難民キャンプでは350人の1万倍、350万人の人びとが家に帰る希望もなく、多くの場合は家族が離散して避難生活を送っています。

自衛隊の撤収を幕引きにするのではなく、南スーダンの人々が安定した暮らしを取り戻せるよう、日本政府がみずから掲げた和平プロセスへの支援や人材育成、人道支援を具体化していくことを強く望みます。

JVCは、これからも南スーダンでの人道支援活動を続けます。現在、私はビザ取得のためエチオピアに滞在しており、このあとジュバに入ります。現地の状況や人々の声、支援活動の様子など、引き続きこのホームページ皆さんにお知らせしていきます。

自衛隊の撤収に関わらず、南スーダンの人道危機は続いています。南スーダンでの緊急支援活動にご協力お願いいたします。
https://www.ngo-jvc.com/jp/projects/sudan/2016emergency.html
2月21日、衆議院予算委員会中央公聴会での今井の意見陳述:https://www.youtube.com/watch?v=TD25chdA7D8

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