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「モザンビークビザ問題」と「民衆法廷」で感じたアフリカの連帯パワー

南アフリカ事業担当 渡辺 直子
2017年8月31日 更新

8月中旬、マラウィ、タンザニア、マダガスカル、南アフリカ、モザンビーク、ジンバブウェ、モーリシャス、ザンビア、アンゴラ、ボツワナ、スワジランド・・南部アフリカの人たちが南アフリカのジョハネスバーグに結集しました。
「STOP THE PLUNDER. AFRICA IS NOT FOR SELLING - THE SOUTHERN AFRICA CAMPAIGN TO DISMANTOLE CORPORATE POWER(略奪を止めろ。アフリカは売り物ではない‐企業の力を解体するための南部アフリカキャンペーン)」の一環として開催された「民衆法廷」に参加するためです。

「略奪を止めろ。アフリカは売り物ではない」と書かれた民衆法廷の旗「略奪を止めろ。アフリカは売り物ではない」と書かれた民衆法廷の旗

鉱山やダム開発による環境汚染と公害問題、多国籍企業のF1タネを押し付ける援助と自分たちで採種したタネをめぐる問題、タックスヘイブンの問題・・・日々の暮らしや主権をめぐる様々な問題に対し、現地に暮らす人、そしてそれを支える同国のNGOメンバーが協力しながら訴訟を起こし、法廷で、いかに人権が侵害されているのか、国内・国際法に照らし何が違法なのかを陪審員に訴えます。
これらのケースはいずれも国内のガバナンス(統治のあらゆるプロセス)が悪く、それゆえに司法も機能せず、どうしようもない状態になってから、問題に対する国際社会の目を集めて事態を変えたい、連帯によって社会正義と公正な社会の実現を、「誰か助けて」との祈るような思いで持ち込まれています。ゆえに、どの事例も、「プロサバンナ」における人権侵害やモザンビークの人たちが抱える土地収奪の問題(http://bit.ly/1VM0Rm0)と通じるものがあり、被害の酷さに驚愕しました。そして、自分が活動する南アフリカのケースもいくつか報告され、まだまだこの国の現状をわかっていない自分も痛感し、少々落ち込みもしました・・。しかし一方で、途方に暮れそうな大きな問題と権力に対し、力強く、かつ非常に冷静に、ファクトやデータを用いて訴える参加者の様子を見て、「こんなにすごい人たちがこんなにいるのか・・・」と民衆のパワーと自分がその連帯の輪のなかにいることを実感し、非常に勇気づけられました。

また、参加をしたことで自分たちの運動の意義も知ることになりました。訴訟が起こされるケースはそのテーマからも加害側は先進国の企業であることがほとんどです。ある国のオーストリアの企業のケースを扱っている際、陪審員の一人がこういいました。「モザンビークのプロサバンナの事例は、被害を受けている人びとと加害側の国の市民による連帯・協働の好事例だと思う。あなた方は、オーストリアの市民社会とのこのような連携はないのか」。気がつけば、どのケースも自国の被害者とそれを支える市民社会が国家権力による逮捕や脅し、拷問にあいながら、必死に、命をかけて闘っています。このやりとりから、援助国としてあるいは進出する企業が存在する加害国側の市民として、変えるべき自分たちの社会、そして果たすべき責任・役割の大きさを痛感しました。同時に、モザンビーク、ブラジルと自分たちとの連帯による一連の抵抗運動は、(国家)権力の側からしたら、非常にやっかいな存在なのだと気がつきました。
それだけに、やはりモザンビークに入国して、活動を続けることは、自分の使命でもあります。

今回、自分はあくまでも聴衆の一人であり、「南部アフリカの現状を少しでも知ってもらえれば」と誘ってともに参加したJVC南アフリカのスタッフたちと、ひっそりと座っているつもりでした。しかし、プロサバンナの活動とビザのことを知った運営側の人たちが、ビザ発給への連帯を求めるメッセージを伝える場を2分ほど用意してくださいました。(現在署名活動をおこなっています)
その結果、TICADに関する提言活動等を行う「市民ネットワークfor TICAD」がTICAD開催に際して出した声明(JVCも賛同)、「TICAD VIフォローアップ閣僚会議参加希望者へのビザ不発給措置について強く再考を求めます」にその場で20弱の団体が賛同署名をしてくれました。署名をしてくださった皆さま、本当にありがとうございます。皆、他人事ではなく、当事者として怒ってくれました。法廷が終わったあとの夕食時のレストランでも「この場でまだ集めよう!」と言って署名を募ってくれた方もいました。アフリカの連帯のパワーとともに、温かさも感じた場面でした。

様々な方とつながることができて、今後の活動にとっても非常に貴重な機会を得ました。こうした方々の思いに報いるためにも、なんとか頑張って「ビザ発給拒否」問題が解決されるよう働きかけを続けたいと思います。

現地の仲間のパワーと優しさにいつも元気をもらっています。「ビザ発給拒否」にめげている場合ではありません現地の仲間のパワーと優しさにいつも元気をもらっています。「ビザ発給拒否」にめげている場合ではありません
  • 執筆者の渡辺は、南アフリカ事業と並行して、隣国・モザンビークで実施されている日本のODA事業「プロサバンナ」についての政策提言活動を担当しています。2017年8月現在、入国のためのビザが発給されないため、署名活動を実施中です。多くの方に応援していただき、もうすぐ5,000筆。ぜひご賛同ください。
    

【署名継続中!】国際NGOスタッフ・渡辺直子さんがモザンビークに入国できるようにしてください!http://bit.ly/2v4IP8U