6月7日から9日までリンポポ州ベンベ郡の活動地へ行ってきました。JVCはベンベ郡では2005年から活動していて、現在は、LMCCという現地の団体と協働しています。2009年度からは、それ以前の期間のフォローアップ期間として家庭菜園研修に集中して活動しています。
LMCCには長年JVCの家庭菜園研修に参加してきたスタッフ、ボランティアがいるので、2010年からは、それまでの活動のフォローアップとしてトレーナー育成のためのトレーニングを実施しています。LMCCが、HIV/エイズに関わる団体として学校の子どもや先生を巻き込んで菜園をつくることで子どもたちのサポートもしていきたいということなので、学校でスタッフやボランティアが子どもたちや先生に菜園づくりを教えるところに参加して、教え方や菜園の改善点などをアドバイスするようにしています。
今回は、栄養研修を実施するとともに、地域内の4校(小学校3校、高校1校)を訪問しました。どの学校も先生たちが菜園づくりに協力的で、通常生徒の一部も「ガーデンクラブ」をつくって参加しています。とはいえ今回は子どもたちの参加はありませんでした。というのも、南アでは毎年6月にミドルタームとして学校が2週間ほど休みになるのですが、今年はワールドカップに合わせて6月9日から7月11日まで一ヶ月以上の休みになり(うらやましい!)、すでに学校には生徒がちらほら…しか見当たらないためです。このため先生とLMCCのスタッフ、ボランティアを対象にトレーニングを実施しました。
1日目
7日は学校には行かず、 LMCCがボドウェ村で運営するケアの必要な子どものための給食センター(DIC)で栄養研修を行いました。このDICには、0〜18歳のエイズやその他の理由で親を亡くした、あるいはいたとしても病気などで子どもに十分なケアを与えられない家庭の子どもたちがやってきます。この子どもたちにとってはDICで食べる食事が一日のうちで唯一のまともな食事であることも少なくありません。
そんな子どもたちの食事は「ただ食べられればいい」のではなく、おいしく、栄養価に富んだものである必要があります。ここ数年このDICの敷地では在宅介護ボランティアとDICボランティアが競うように菜園をつくっています。
どのボランティアさんも非常に熱心で、菜園にはいつも緑がいっぱいです。しかし、これが食事にすぐ活かされるかというとこれがなかなか難しくもあります。例えば「100人いる子どもたちのために日々畑の野菜を使いながら継続的に栽培していく」方法をイメージするのは容易ではなく、ついケチケチ収穫してしまって、結局野菜をダメにしてしまうこともあります。もったいない…。というわけで、この日は栽培計画と、畑にあるものを使ってどうしたらバランスのいい食事を作れるかについて調理しながら学びました。
研修参加者にとって一番楽しいのは調理実習です。トレーナーから「ほうれん草だけではなくてねぎを入れると体が温まっていい」とか「ローズマリーは免疫の働きを活発にする」とか「マジョラムは血液の循環がよくなる」などなどの情報を教えてもらいながら、火を通しすぎないで調理する方法が伝授されました。その後、子どもたちが食べ終えた後の時間を使って行ったので、ボランティアたちだけで試食したのですが「これだけしか火を通さないでいいの?!」と最初は恐る恐る食べていたボランティアたちも「おいしいわ!」と喜んでいました。
翌日訪問した際に、子どもたちの分と一緒に私たちのお昼ご飯も作ってくれたのですが、早速学んだとおりの調理法でほうれん草とトマトの蒸し煮を作ってくれました。これを南アの主食のパップと一緒に食べたのですが、油を使いすぎていない調理法で私にも食べやすくおいしかったです(南アフリカの人は油をいっぱい使うので日本人の私はすぐに胃がもたれてしまいます)。
子どもたちも皆おいしそうに食べていました。DICに通ってくる子どもたちにとっては、学校やDICが唯一の憩いの場であるケースも少なくありません。そんな子どもたちが自分のことを気にかけてくれる大人たちの存在を感じながら、皆と一緒においしいご飯を食べることは、単に健康な体をつくるだけではなくて、心にも栄養を与えているのだろうなぁ、とその笑顔を見ながら感じました。
(続きます)