家から逃げて暮らす人々
今イラクでは500万人近くの人々が家を逃れて国外や国内各地で避難生活を送っています。その半数は2003年に始まった戦争、そしてその後の治安の悪化のために避難民となった人々です。
治安は少しずつ改善しているものの、いまだ避難民が安心して故郷に帰れる状況にはありません。彼らの多くは親戚の家に身を寄せていますが、受け入れる家庭も負担が増大しています。
しかしイラク政府からの支援では避難民はもとより元からの住人にとっても水・食料・医療などの基本的な生活ニーズは満たされていません。人々が生き延びるために、国際的な支援が求められています。

緊急に必要な食料を
イラク中西部のアンバール県には、首都バグダッドなどから逃れてきた約1万世帯が暮らしてると報告されています(09年1月時点)。その中のファルージャ市では支援を必要とする避難家族が1,500世帯を超え、その半数は未だにイラク政府からの配給食料を手にすることができずにいます。
このファルージャ市で、JVCは地元の団体と協力して2007年から食料支援を行っています。2009年2月には、収入がないなど特に状況が深刻な450世帯を対象に配給を実施しました。支援食料は多くの家庭で不足している豆、米、食用油を中心に、約2週間分の補助食料で構成されています。

イラクの人々自身が担い手に
これらの支援を円滑に行うため、地元の団体のほか、地域のモスク(イスラム寺院)と協力しています。支援対象者の選定や配布の告知、物資の保管や配布までをモスクが担当。安全面から日本人スタッフはイラクの隣国ヨルダンに駐在していますが、「自分たちの力でイラクの暮らしを立て直したい」と願う現地の人々が実働を担い、支援が進んでいます。

日本人スタッフが直接配布地に赴けないのはもどかしいものの、現地からの「無事に配布したよ!」の報告にほっとしています。「配布物資は必要性が高いもので、受け取った人々はとても喜んでいたよ」と報告されています。
