JVCは、国際NGOやイラク国内の団体と協力してイラクのファルージャとバグダッドに食糧支援を実施しました。その様子が写真で送られてきたので皆さんにお知らせします。


9月の上旬から準備をはじめましたが、断食月がはじまって食糧値段が予想外に高騰し、物資の購入などに時間がかかりました。しかし、スタッフの尽力でファルージャでは下旬から配布を開始し、10月上旬にはファルージャで566家族、バグダッドで496家族への配布を無事終えることができました。断食月明けのお祭り(日本のお正月のようにご馳走を食べます)にも間に合い、喜ばれた様子です。


特に、バグダッドのキリスト教徒の避難民に対する配布は、これまで国際援助もNGOからも支援がなかったために、大きな感謝をもって受け止められたようです。配布を手伝った教会からの感謝状も届きました。

これまで国内避難民は政府による食料配給が得られませんでした。配給の登録は避難前の居住地でしなければならなかったからです。6月以降は移動先での登録が可能になりましたが、それで問題が解決したわけではありません。政府機関への登録によって、強制退去があるのではないかと警戒したり、民兵組織へ情報が漏えいして襲われるのではないかと恐れている人も多く、国内避難民の大半が登録をせず政府からの食糧配布を受けていないといわれています。これらの人々はNGOや宗教施設を通して、辛うじて食料配布を受けられる状態が続いています。


アンマンに逃げてきた人の中には、いったん国内で避難していた人もおり、国内避難民となっている家族を国内に残している人もたくさんいました。国内に残っている家族や友人のことを聞く時、イラクの人々の表情は一様に暗くなってしまいます。イラクの国内における最低限の社会サービスの提供・維持機能は日に日に減退しており、夏にはクルド地域でコレラが発生、約3000人が罹患しました。戦前のイラク社会には想像もつかないような衛生状態と医療体制の劣化が被害を広げているとの暗いニュースが相次ぐ中、食糧支援によって少しでも多くの人が元気づけられたことは嬉しい報告です。

今後、ファルージャの避難民家族に対する支援を年内にもう一度行う予定です。皆さんのご支援を引き続きお願いします。

*横断幕に書かれている言葉
「統一イラク連帯」が配布
米5キロ、豆2キロ、ファルージャに避難した家族に配布
2007年10月6日土曜日、ハサン・モスク
※JVC注:協力している国際NGOの名前は、現場スタッフの治安上の問題があるため、名前を変えてあります。