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アンマン到着とバクダットの暑い夏

イラク事業担当 原 文次郎
2006年8月 8日 更新

8月1日にアンマンに到着。ここに来るのは約2ヶ月ぶりになる。
機内のアナウンスでは気温31度。それでもアンマンは標高700mに位置するために他の中東の地域と比べれば涼しく、湾岸のお金持ちが避暑に来るところでもある。そのために街中は交通渋滞が激しい。

自動車のナンバープレートもヨルダンナンバーだけでなく、クウェートやドバイ(アラブ首長国連邦)のナンバーも見られる。
 ましてや地理的に近いレバノンのナンバーも珍しくはないのだが、やはり戦争状態のこの国の情勢を耳にしているだけに余計に気になる。
 しかし、思いのほか一時期に比べてイラクナンバーの車を見かけるのが少なくなった気がする。

後から情勢の話を聞いていると、やはりそのような観察が気のせいではなく正しかったことがわかって来る。
 レバノン情勢の悪化に伴い、避難民がヨルダンに来ていることと、そのような事情を背景にとばっちりを受けたかのように、ヨルダン政府がイラク人のヨルダン入国を厳しくしているという話を聞いた。
 このために18歳以上35歳以下の男性(戦闘員の年齢層とみなされる)でヨルダン内務省が認めた許可証を持たない者は一律に入国拒否の扱いを受けているということだ。(特に陸路の国境通過が厳しい)

アンマンの滞在先のアパートに足を向けると、夏季にいつも子ども連れで滞在しているバグダッド出身のイラク人の銀行員の一家が今年も滞在していた。
 父親の無事な姿と少し大きくなった日本で言えば小学生の年齢の息子さんの元気が姿が見えて嬉しく思う。治安情勢が最悪なバグダッドのことを考えると無事でいることの方が奇跡的に思えてしまうほどだ。

イラクも、パレスチナ・ガザ地区も、レバノンもアンマンに居るとすぐ近くだ。今年の夏は極め付けに暑い夏になっている。

その日の晩にバグダッドに電話をかけると、電話口に出たAさんも、最初のひとことは暑くて眠れない話だった。
 無理もない、日中は50度近くまで気温が上がるので、夜間も恐らく30度以下にはならないだろう熱波の中だ。
 電話をしたのは現地時間の夜10時半ごろで、その日は夕方5時ごろから電気が来ていないと言う。最近は電気が来るのが6時間に1時間の割合なので、もう少ししたら来るだろうと呑気なことを言っている。
 しかし電気の来る1時間の間も安定して来るわけでなく、ぶつ切りになるし、電圧も安定せず、低いだけでなくいきなり規格より高い電圧で来ることもあるので、機械が壊れやすいと言う。そんな貴重な電気なのでもちろんエアコンなどには使えないという。照明もないしエアコンも使えないのなら寝るしかないのではと思って何時に寝るのかと聞くと、暑くて寝ることも出来ないと言っている。
 窓を開け放すか屋根の上で涼むかして暑さをやり過ごし、午前2時か3時ごろになってからやっと屋内でも眠れる涼しさになってから寝るのだという。

しかし、窓を開け放すのも、屋根の上で涼むのも今のバグダッドでは決死の覚悟だ。
 治安が悪いので、昼間にしても遠くに外出できない。まして夜間は外出規制があるし、規制が無くてもどのみち危ないので家の外に出ることはできない。しかし暑さをしのぐには家の中にこもってばかりもいられないということで、毎晩が究極の選択になると言う。

アンマンは一日の間の寒暖の差が激しく、日中は40度近くになるが、夜間は日本より涼しいほどだ。そのような中で身の安全の心配もしないで寝ることができるのが申し訳ないように思えて来た。