イラクでは2005年10月に行われた国民投票を経て承認された憲法のもとに12月15日に国民議会選挙が行われました。当初の予定よりは遅れたものの、この議会選挙の最終結果が1月20日に発表されるなど、イラクの政治プロセスは順調に推移しているように見えます。
しかしながら、絶対多数を確保できなかった党派間の争いも激しく新政府の発足にはまだ時間がかかると見られているほか、クルド人を中心とする北部地域とシーア派を中心とする南部地域など地方の独立性を強めようとする議論がありイラクの統一性が失われるとの懸念も出されています。このような政治状況の下で治安の改善もはかばかしくなく、イラクの人々の日々の暮らしもなかなか改善の兆しが見えません。
JVCはこの間も
(1)白血病・小児ガン治療のための医療支援と
(2)武力攻撃が続く地域での緊急人道支援を行って来ました。
2005年4月から10月までの実績を以下の通りまとめてみます。
白血病・小児ガン治療のための医療支援
支援品目:
1.抗がん剤、抗生剤、抗真菌薬、抗がん剤の副作用を軽減する薬品(吐き気止め)などの医薬品
2.カニューラ(点滴用の針)、骨髄検査針、点滴用チューブセットなど、白血病、がんの治療に必要な使い捨て医療機材
支援方法:支援先病院の支援要請を受け、隣国ヨルダンで購入。協力者を通じてイラク国内へ輸送。
イラクの病院の医師からの要請に従って医薬品、機材をイラクの隣国ヨルダンの首都アンマンで取り扱いライセンスを持つ薬局より購入し、イラク国内に届けています。日本人スタッフがイラク国内に滞在していなくても、バグダッド在住の現地協力者の助けを得て病院への物資を届けることができています。
2005年 4月-10月までの7ヶ月間に12回の輸送を実施(支援金額:636万円相当)

イラク西部地域(ユーフラテス河流域、アンバール州)での紛争被害者への支援(2005年9月―10月)

シリア国境付近での軍事作戦による一般市民に死傷者が出ているとの報告を受け、ファルージャ在住の地元協力者の助けを得て、避難民への医療支援として合計$4,000−、約3,000家族分を2回に分けて(9月22日、10月25日)医薬品や救急セットをアナ地区の診療所に配布しました。

支援を実施しようとしている間にも戦闘が継続していたので、配布には困難が伴いましたが最終的に地元の診療機関への配布を行うことができました。