9月3日(金)
金曜日はイスラームの休日で仕事にならないことが多いため、自主的に休みの日にしている。3日はまた、アンマン在住の知り合いの誘いもあり、夕方から知人宅でくつろいでいた。そういうところで携帯電話に電話がかかって来た。電波の状態が悪い訳でもないのに1回鳴ると切れてしまった。ほどなくして、またかかって来るが、今度も1回鳴っただけで切れてしまうので、こちらが電話を取るタイミングを失う。
間違い電話の疑いと、金曜日の休日ということも頭の隅にあって掛け直すのをためらっていたら、またかかって来る。今度こそは取ったと思ったらまた切れてしまった。さすがに気になってこちらから電話を掛け直してみた。ワン切り携帯電話の主は誰だろうと、恐る恐る話してみたら、相手はちゃんと英語で答えて来る。誰だか思い出した。すごいところから掛けて来るものだと改めて思った。必死だからと言えばそれまでなのだが、何と電話の主は難民キャンプ在住のイラン人で、自分たちの将来を何とかしてもらえないかと期待をして掛けて来ているのだ。彼の身の安全のこともあるので、仮にAさんとしておく。
Aさんの住む難民キャンプは、難民キャンプと言っても並みのところにあるものではない。ヨルダンとイラクの国境、砂漠のど真ん中の中間地帯で、イラクから逃げてきた難民の人々が、ヨルダンへの入国が許されずにその場に留まっているのだ。電話を受けて、私はこの灼熱の地でAさんに会った時のことを思い出した。(次号へつづく)