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カルバラの大惨事

中東 パレスチナ最新情報 中東担当 佐藤 真紀 佐藤 真紀 佐藤 真紀
2004年3月 4日 更新

シーア派のイスラム教徒は、預言者モハメッドの孫フセインを神格化している。彼が殺された日は、同じ痛みを分かち合おうと自ら身体を鞭打つ。ダンスのように歌いながら胸を叩いたりするが場合によっては血が出るまで鎖で鞭打つ人もいる。これがアシュラーのお祭りだ。

バグダッドの人間も聖地カルバラまで歩いて出かける。キリスト教のイースターによく似ている。町では、子どもたちも巡礼に出かける準備をしている。私がイラク入りしてから3日経ったが、何となく町も落ち着いている。米軍も殆ど見かけない。 

みんなが平和に宗教的な行事を楽しめればいいなと思った。昨年はサダム政権が崩壊した直後、緊急救援のためにイラクにいた。サダム政権下でシーア派の宗教行事が厳しく禁止されていたため、何十年かぶりに人が集まるというのでカルバラへ見に行ったのを思い出す。
イラク現地情報No.25参照)
今から思えば、テロの心配など全くしなくても良かった。
今年はどうだろう。この治安の良さならカルバラまで行ってみたいと思っていた矢先、ホテルのロビーで爆弾テロのニュースを聞いた。

結局、カルバラでは3つの爆発。バグダッドでも3箇所で爆発が起こり、100人以上が死亡した。
「イラン人がやったんだ。イラクではシーアだってスンナだって今までうまくやって来た。イランからテロリストが入ってきたんだ」と言う人。
あるスンナ派の人は、
「アメリカだ。アメリカが外国からテロリストを招き入れている。あれだけ警護をやっていたのだから、巡礼のイラン人に紛れ込んでテロリストを導きいれたんだ」とも言った。

いろいろ考えてみると、3日前、国境に米軍が一切いなかったことが気になった。しかもラマディのシーア派の部族に国境を警備させていた。容易にテロリストが侵入できるよう、アメリカが意図したのだろうか。アメリカのサインかしれない。今までは、どちらかと言えばシーア派をとりたてていたが、シーア派が多数を占めれば選挙ではシーア派が勝つ。アメリカは、イランと関係の強いシーア派とはどうも相容れないものがあるようで、これからはスンナ派をうまく使って、シーア派に揺さぶりをかけようという戦略に転換したのかもしれない。また、パレスチナでハマスとヒズボッラーといったスンナとシーアの過激派が結びついてアメリカに立ち向かう前に、両者の対立をあおっておこうということかもしれない。それともアルカイダがシーア派に支持されると困るので、アルカイダがやったと見せかけるような工作をアメリカがしたのかもしれない…などと思ってしまった。

このお祭りが無事に済めば、憲法制定を初めにひとつのイラクに向けての大きな一歩であったのだが、非常に残念な結果となってしまった。

カルバラへ向かう準備をする子どもたち。翌日テロが起こった。カルバラへ向かう準備をする子どもたち。翌日テロが起こった。