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本を持っていく

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2004年3月 2日 更新

とうとう本が出来た。
谷川俊太郎さんとイラクの子どもたちで一生懸命作ったという気がする。

谷川俊太郎氏と谷川俊太郎氏と

2月25日、私は翌日には日本を出発するので準備に大忙しだった。NHKのラジオ番組で谷川先生と初めてお会いすることが出来た。
「お兄ちゃん死んじゃった。イラク戦争と子どもたち」に収録されている詩を谷川先生ご自身が朗読してくださった。
一ページずつ、絵の解説をして、谷川さんの朗読が入るという豪華な番組。スタジオで朗読を聴いていて、谷川さんが発する言葉の存在感にうっとりした。
残念ながら放送が聴けなかったので、NHKから録音したMDを頂いてきた。夕方には、イラクの子どもたちに届ける本がきた。子どもたちが自分たちの描いた絵が本になっているのを見て喜ぶ姿が目に浮かぶ。

27日、ヨルダンに着いた。今回は、元JVCの代表だった林医師を同伴。JVCの白血病の支援の方向性を見極める。ヨルダン−バグダッド間は飛行機の方が安全だというので予約をしたが、満席でウェイティングリストだという。
ぎりぎりまで様子を見ようと、マルカ空港まで行くことにした。ここは小さな飛行場だが、真新しく迷彩色に塗られたC130輸送機がとまっていた。体格のいいアメリカ人が次々とチェックインしている。兵隊かと思いきや、ビジネスマンだという。復興ビジネスに関わる米国人が結構いることに驚く。

白血病の薬約50万円分を持ってきた薬屋のハイサムさん(ヨルダンのホテルで)白血病の薬約50万円分を持ってきた薬屋のハイサムさん(ヨルダンのホテルで)

結局、殆ど米国のビジネスマンに席は押さえられてしまい、陸路で行く事になった。朝方、車でヨルダンを出国し、イラクに入る。
パスポートコントロールに行くと、
「これからエイズ検査をするので病院に行こう」
と言われた。そんな話は聞いたことがないし、病院なんてこんな国境にはなさそうだ。
実は、サダム政権下では、エイズ検査をすることが入国の条件になっていた。注射針などは信用できないので、いざというときのために注射器を持参するのが慣わしになっていたが、私の場合は一度も検査されたことはなかった。
「検査が嫌なら、バクシーシ(寄付)を払いなさい!」
と言う。これでは、前政権と同じである。
以前は、エイズ検査を受けるようにという注意が書いてあったが、米軍が占領してからはそういう注意書きはなくなった。
「米軍はいないの?」と思わず助けを求める。
「ブッシュはくそだ。サダムはすばらしい」
と言ってブッシュを踏みつけるしぐさをする。ドライバーは
「国境警備はラマディー出身者だから私に任せてくれ」
といって話しをつけてくれた。
結局お金さえ払えば誰でも入国できる。

米軍はいなくなって、最も反米感情の強いラマディの人たちが国境警備をやっているのだから、治安が良くならないのも当たり前のような気がする。
どうもアメリカのやり方には頭を傾げる。