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ナガサキの日に−ヨルダン人がみたルェイシッド難民キャンプ−

パレスチナ事業担当 看護師 吉野 都 吉野 都
2003年8月12日 更新

日本のヒロシマ、ナガサキの原爆記念日の慰霊祭は、こちらヨルダンでも毎年報道されているという。1945年の8月9日は、74000人が原爆の犠牲になった「ナガサキ」の日。

視察中のジャマル氏、ムラード君、国富氏視察中のジャマル氏、ムラード君、国富氏

今日は、JVCのパートナーであるカリタス・ヨルダン代表ジャマル氏と、カリタスの難民医療担当ジェニン氏、カリタス/JVCボランティアのムラード君、石垣ボランティア、そして、ご支援頂いている立正佼成会の国富氏と共に、ルェイシッド難民キャンプを訪問した。今後、JVC/カリタス・ヨルダンは、CAREと協力して難民キャンプに「子ども図書館」を設立する予定である。本日は、260冊の子どものための本をキャンプに届けた。

ルェイシッド難民キャンプからアンマンに帰る車中のラジオが「ナガサキ」について報じている。それを聞いていたパレスチナ人のジェニンが私に聞いてきた。
「日本が唯一の被爆国だってことは、アメリカの高校に行っていたときに勉強したわ。あの時は、クラスみんなで泣いてしまった。
でも、どうして、日本は新しい法律まで作って、“軍隊”をイラクに派遣するの?えぇっ、人道支援という目的なの?“軍隊”…が?」

ジェニンの頭の上には「はてなマーク」が浮かんでいる。無理もないだろう。日本人の私たちにだって理解できないのだ。彼女はキャンプで日射病にかかり、最後はふらふらになってしまっていた。
「ここで暮らす人たちの気持ちが、ふらふらになって初めて実感できたと思う。私は、ジェニン出身のパレスチナ人だから、この事実を知らなければならない。」と力強く話す。

人道支援って何だろう。改めて考えさせられる。900人あまりが暮らすルェイシッド難民キャンプからは、NGOが次々と撤退していく。過酷な状況で4ヶ月あまり暮らす人々は、希望を持つことさえ難しくなっている。キャンプに同行したジャマル氏は、
「難民支援を場当たり的なものと捉えては危険だ。まだまだ、やるべきことはたくさんある。」と話す。

ムラード君は、初めて目の当たりにしたキャンプの状況に胸を痛めている。
「キャンプのある男に、“君たちは僕たちに何をしてくれるのか”と聞かれた。子どものための図書館をやるのだって僕は答えたよ。そうしたら、“何をしてもらっても、僕たちはここ(キャンプ)から出ることは出来ないよ。”と言い返された。なんて答えていいかわからなかったよ。
でも、あんな過酷な状況の中でも子どもたちは笑い、大人たちは僕たちをもてなそうとしてくれる。強い人たちだ、と思った。」
ヨルダン人の青年、ムラード君の正直な感想だろう。

難民キャンプの子どもたちが、世界とのつながりを実感し、幸福なときを少しでも過ごすことができますように。
ルェイシッド難民キャンプ「JVC/カリタス・ヨルダン子ども図書館」はまもなくオープン予定だ。

「どこに行くの?」「もちろん子ども図書館だよ!」近日オープン「どこに行くの?」「もちろん子ども図書館だよ!」近日オープン