本日はストリートチルドレンへの食料支援の配給状況の視察、音楽バレエ学校の視察、また、看護師吉野の母子保健病院でのボランティアの様子などをご報告いたします。
ストリートチルドレン食糧援助計画の状況
JVCは3月上旬バグダッドの貧困地域でのストリートチルドレン約350人(路上200人、施設150人)に対する食料支援をフランスのNGO(EMDH)とドイツのNGO(APN)と共同で取り掛かった。食糧をバグダッドに運び、5つの教会と3つのモスクを倉庫代わりに使わせてもらい、ストリートチルドレンと施設に配給をする予定だった。しかし準備が整った矢先に攻撃が始まり、配給を管理するはずだった、EMDHのローカルスタッフとの連絡も途絶えた。ローカルスタッフと連絡が取れたのは私たちのバグダッド入りの前日、4月15日だった。
今日はこの倉庫の役を担ってくれた教会の一つセント・エリア教会をまず訪れた。どうやら、ストリートチルドレンは攻撃と同時にどこかに逃げて行ってしまい、物資は地域の貧しい家族(計800家族)に配給されていた。1家族に配給された物資は、粉ミルク500gx1袋、250gx2袋、グリーンピース1缶、ツナ1缶、ジャム5ヶ、小麦粉50kgx1袋、ビーフ1缶、ゴマペースト1缶、フール豆1缶、トマト1缶、マカロニ20kg、洗剤500gx1箱、石鹸1ヶとなった。9割ほどの物資が配給済みであった。もちろん、この量では平均8人ほどの家族にはそう長くは持たないだろう。
しかし、戦争後はモスクがどこからか食料を集め、貧しい人達に配ることを争って行うようになっているとのこと。援助を牛耳るものが政権を握る、という構図が見えはじめているようだ。私たちNGOもこのような権力争いに巻き込まれないように気をつける必要があることを認識した。
音楽バレエ学校
JVCのポスターの絵を描いてくれたスハッドちゃんを再度訪れた。今回は「音楽バレエ学校」の用務員をしていたお父さんの話を聞きました。お父さんが用務員をしていた学校は、略奪よりも破壊がひどかった。この学校にもピアノが10台の他、バイオリンやウドゥーなどたくさんの楽器が揃っていた。しかしこれらの多くの楽器が無残にも壊されていた。ピアノの4台は完全にぼろぼろに壊されていた。ガラス張りのバレエの部屋も荒らされていた。そこに残っていた子どもたちが描いたバレリーナの絵は、子どもたちのバレリーナになる夢と希望を象徴しているようだった。
イラクはかつて文化教育に力を入れてきたので楽器なども多く輸入しており、経済制裁の中でも、何とか続けることが出来た。しかし、戦争と略奪で、子どもたちの夢は壊されてしまった。壊されたのは学校だけではなく、スハッドちゃん家族が住んでいた学校の隣の小さな小屋のような家もである。爆撃で屋根に5ヶ所の穴が開き、お母さんは怪我をした。庭には防空壕が掘ってあって、夕方6時から朝の6時まではここで寝ていたという。しかし、先に5人の子どものうち4人を疎開させ、バグダッドへの攻撃がいよいよひどくなったときに、イラク軍に避難するように言われて全員疎開した。
お父さんが言うには、攻撃が終わって2日後に学校に戻ったら、すでに学校も家も荒らされていた。お母さんは、家具を持って行かれたことよりも、子どもたちの未来にとって大切な文化施設を壊されてしまって、一体これからイラクの子どもたちはどうすれば良いのか、と嘆いていた。子どもの施設、シンドバッドクラブはイスラム政党のオフィスにされたが、この文化教育施設もいつそのような目にあうやもしれない。子どもたちの未来は一体誰が守るのだろうか。
看護師吉野レポート:母子保健病院」でお産始まる
昨日から赤新月社付属「母子保健病院」でお産が始まりました。手術室もきれいになり、消毒も済みました。ジェネレータで電気もあります。帝王切開手術も始まってます。昨日6件、今日2件でした。もちろん通常分娩もあります。今日は病院が診療できるようになったので、医師が全員(5人)揃っての対応でした(普段はローテーションを組んでるそうです)。帝王切開はこの国では通常1泊の入院ですが、現在は6時間ほどベッドで休むと帰宅するようです。
しかし、医師によると、妊婦にも戦争による影響が出ているとのことです。ストレスがもとと思われる、流産・早産が増え、妊婦自身が下痢や食あたりを起こしたり、また攻撃で負傷した妊婦は麻酔が使えず、痛みに耐えなければなりません。また、ストレスによる夫婦喧嘩も増えているとのことです。お母さんと子どもの環境は理想からはほど遠いようです。
帝王切開分娩に立ち会った29歳の女性は、攻撃中はバグダッド郊外に疎開して、特に問題はなかったが、予定日を過ぎているのに産気つかないと言って病院を訪れました。医師は午前中に診察をした結果、午後には帝王切開をすることに決めました。彼女の場合も本人が気がつかないうちに心理的ストレスなどの影響があったのかもしれません。
看護師吉野レポート:「ダル・アルラハマ」の女の子たち
ストリートチルドレンの保護施設「ダル・アルラハマ」を訪れました。女の子の部屋は仕切られていて、女性しか入れません。女の子たちの中には、大きなやけどを負った子や、顔に傷のある子もいます。元気の無い子が多いです。水が悪く下痢の子もいます。
絵を描いてもらいました。花や言葉、自画像など、を描いてくれました。そうしているうちに少しづつ打ち解けてきました。それでも抱きついて甘えてくる子もいますが、遠くから見てるだけの子もいます。おそらく彼女たちは私たちにはわからない、いろんな苦労をしてきたんだと思いました。