金曜日、いつもならキングフセインモスクでお祈りが終わったあと、戦争反対のデモがある。ところが今日はまったく静かな金曜日だ。
「もう、戦争は終わった。アメリカはすばらしいよ」
という人。
「何も話したくはない」
と一切話してくれない人。毎週続いていたデモも再び許可が下りなくなったようだった。
先週の金曜日には多くの人がデモに参加したが、、、イラクへ向かう車を探す。
昨日の朝4時に私の友人の何人かは、ジャーナリストコンボイに加わり国境を越えてイラクに入った。途中ヨルダンの国境で十数時間とめられていたが、何とか国境をこえイラクへたどり着いたようだった。
「戦争は終わりだ、バクダッドを目指せ!」イラク側の国境はすでに誰もいなくなっていたとの情報もある。ガラージマハッタと呼ばれるイラク行きの車の発着所に行ってみた。バスが一台止まっており、夕方5時には出発するという。50人くらいが待っていた。
多くの人が、
「戦争は終わった。サダムは終わった」
と答えてくれた。
「アメリカのおかげでサダムが終わった」
とうれしそうに語る若者を、中年の親父たちがたしなめる。
「何を言っているんだ。サダムはひどかったが、まだサダムの方がアメリカよりましだろう。」
とむきになっている。
バグダッドに帰るバスは20ヨルダン・ディナール(3000円ほど)だ。みんなそれほど荷物を持っていない。途中で略奪されることを恐れているのだろう。
「家族?みんな殺されているかもしれない。バグダッドにはまったく電話が通じない」
と嘆く。
「みんな殺されたんだ」
と不安げな人々。
アハマッドさん(45歳)は、
「一年ヨルダンで働いてきたが、残した家族が心配だし、テレビで暴徒が略奪している姿を見た。戦争中より家のことが心配だ」
と帰る決心をした。タクシーの値段を聞いてみる。以前は100ドルだったのが2000ドルまではね上がっている。イラク政権が機能していたときには、ただで帰国のバスを出していたが、もはや政権が崩壊してしまい、この値段では帰国できるイラク人の数は多くない。
予想をはるかに上回るスピードで崩壊してしまったサダム政権。そのことをどう捉えていいのか戸惑うイラク人たち。ブッシュかサダムかときかれても、ともかく家族の安否を確認するまでは不安でたまらないと言うのが実感だ。