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2020ピースヤード開始!

JVCイラク事業チーム補佐 中野 恵美
2020年11月16日 更新

新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて延期していた今期の「ピースヤード(平和のひろば)」が、9/24にスタートしました。紛争の影響を受けた子どもたちの居場所づくり・心のケア・平和教育の活動です(イラクでは3月中旬から断続的に外出規制が続いていましたが、9/21に全面解除されました)。

写真は、初日のようす。少人数で距離をとって、マスク着用にてオリエンテーションを実施しています。26人が参加中で、まだ表情が硬い子もいますが、これからスタッフや他の子どもたちと一緒に過ごしたり、ケアを受けたりする中で心の壁がなくなっていくことを目指します。

2019年のピースヤード

10月1日から12月5日まで、現地パートナー団体であるINSAN Iraqi Society (インサーン)の協力で、キルクークの子どもたちに対して計23回のプログラムを実施しました。参加者は6-13歳の56名。うち35人がアラブ系、16人がクルド系、5人がトルコマン系。33人が避難民、男女比は半々(28人ずつ)でした。

民族や宗派が異なる子どもたちが交流し、平和・共生について学ぶ(2019年)民族や宗派が異なる子どもたちが交流し、平和・共生について学ぶ(2019年)

活動の詳細

  1. 紛争の傷が残る状況の中、子どもたちが安心して集まれる場を提供。異なる民族の子どもたちが交流しつつ、アートや音楽活動を通じて人権や平和共存について学ぶ場を提供しました。
  2. 心理カウンセラー参加のもと、6回の精神的なケアのプログラムを実施。また、13名には特にケアが必要であることがわかり、個別のカウンセリングおよび家庭訪問などを実施しました。
  3. 期間中3回の保護者会を実施。平和共生を目指す取り組みを伝えると共に、民族・宗派や避難民と地元住民など異なる背景を持つ人々が知り合う機会となりました。

紛争の中で安心できる居場所を失った子どもたちが、安心して過ごせる環境を作ることで、子どもたちは少しずつ心の安定や自己肯定感を取り戻していきました。また、ふだん出会う機会の少ない様々な背景を持つ子どもたちが体験を共有する中で互いに理解を深め、民族や文化の違いを超えた「共生の芽」が芽生えています。

また、精神的なケアにより、落ち着きのなかった子が落ち着いて座って話を聞けるようになる、アートや音楽に関心を示さなかった子が関心を持つようになるなどの変化も見られました。

この活動の規模は小さいですが、参加する子どもたちにとっては生涯残る大きなインパクトを与えることができる活動です。私たちが支援する子どもたちが大人になり、イラク、そして中東に平和をもたらす一助となることを信じています。