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犯罪者扱いされる犠牲者:ISの少年兵たち

criminalizing victims: ISIS child soldiers
イラク事業担当 Ghamra Rifai(ガムラ・リファイ)
2019年7月16日 更新


国際社会は、多国籍軍が過激派組織「IS」のシリア最後の拠点を制圧したことを祝っています。しかし、「IS」によってもたらされた被害は、人々の想像をはるかに越えるものでした。多くの人たちにとって、その被害は今まさに始まったばかりです。たしかに「IS」は姿を消したかもしれません。しかし、彼らはいつ再び現れるかもしれず、国際社会、とりわけイラク政府やクルド自治政府の行為によって「IS」よりさらに凶暴な組織が生まれる可能性が出てきました。

それは、生まれてから一度も愛というものを知らず、憎しみと差別、そして暴力の中で育った若者たちが作る組織です。家族から離され、人間的なふれあいを断たれた「ISファミリー(ISの家族)」と呼ばれる人たちには、目の前にたった一つの道があるだけです。生きるために、死ぬまで闘い続けるという道が。

2014年から17年のあいだに、ISはイラクとシリアにまたがる広大な地域を支配し、支配された都市の住民たちは3年間、耐えがたい地獄のような暮らしを強いられました。女性たちはモノのように扱われ、奴隷市場が栄え、ひとりひとりの行動のすべては監視され、(ISにとって)まちがったことをしたり、言ったりすると、投獄されるか、処刑されました。ISの兵士たちが、学校、病院、法廷、職業などすべてを管理し、ISが自分たちの政府を作りました。

子どもたちを訓練し、人を殺し、爆弾を作ることを教え、自分の体重より重い武器を持たせて、戦場に送り込みました。意のままに子どもたちの人生を奪い、破壊しました。住民たちは、服従するか、殺されるかしか選択肢がなく、ISが街を統治している中、他に道はなかったのです。

解放されたあと、子どもたちは消耗し、裏切られたと感じていました。ISの地獄から救出されるまで長い間待ち、やっと解放されたら、こんどは人々からの復讐の地獄の中にいたのです。この子どもたちは、「IS所属者(IS affiliates)」または「 ISの少年兵(IS child soldiers)」と呼ばれ、犠牲者として扱われることなく、テロリストとして逮捕されています。

「IS」の少年兵と言われる子どもたちの中には、個人的ないやがらせで少年兵だと告げ口された子どももいます。逮捕された子どもたちは、戦闘員とは限りません。料理係や作業員、また、ただ「IS」の支配地域で働いていただけの子どもも、テロリストとして逮捕されています。彼らは思想的な理由で「IS」に加わったわけではなく、自分や家族を養うため、また友だちに誘われて入っているのです。逮捕された子どもたちは、拷問を受けて自白を強要され、3年から5年の刑に服しています。

イラク政府、クルド自治政府、非政府軍の間の連携不足のため、一度服役した後、再逮捕される子どもも多くいます。子どもたちは、刑務所を出て自分の家に帰ることを恐れています。社会は、彼らを「IS」の信奉者と見なして仕返しをするかもしれません。働くことも教育を受けることも否定されてしまえば、彼らの人生は始まる前に終わってしまいます。

彼らに残された唯一の道、それは望むと望まざるとに関わらず、過激組織に加わることしかありません。彼らを受け入れてくれる場所は、他にないからです。「IS」の復活は、私たちが思っているよりずっと早いかもしれません。差別を受けてきた彼らによる報復は、これまで以上に過激で、恐ろしいものになるでしょう。

ISの少年兵について、詳しくはヒューマンライツウォッチのサイトをご覧ください。