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JVCイラク事業での1年間

イラク事業担当 Ghamra Rifai(ガムラ・リファイ)
2019年3月28日 更新

3月も終わりますね。今の年度を締めくくり、新しく始まる次の年度の詳細を詰めるのにとても忙しいこの時期に、私がJVCイラク事業担当として過ごしたこの1年を振りかえってみたいと思います。

この1年は、支援者様への報告書や申請書などを準備するバタバタから始まりました。2018年度は資金的にとても厳しい年で、とても暗い年になる可能性もありましたが、あたたかいご支援をいただき、ぬくもりとモチベーションにあふれた年となりました。

JVCで仕事を始めた当初、私は日本語でeメールを書くことも、電話を取ることもできず、支援者の方々とお会いして、関係を作ることも十分にはできませんでした。日本語にぜんぜん自信がなかったからです。でも時とともに、同僚たちや上司の支えもあり、日本語で会話し、eメールにもすぐに返信できるようになり、最近では電話を取ることもできるようになりました。

夏はてんてこまいの季節で、イラクで70人以上の子どもたちが参加して「平和のひろば」が実施され、プロジェクトがスムーズにいくように現地団体INSAN(インサーン)のスタッフと連絡を取る一方、イラクの魅力的な子どもたちの写真やイメージを発信することに努めました。「平和のひろば」を実施した2か月の間、インサーンのスタッフや参加者の子どもたちとskypeで話をする機会もあり、プログラムの詳細を把握し、イラクと日本の違いや距離について考えることもできました。

イラクカフェ開催。デーツボールをつくっています。イラクカフェ開催。デーツボールをつくっています。

イラク事業補佐の中野さんのサポートにより、 年度の後半は仕事にだいぶ慣れ、楽しくなりました。9月からは、イラクを戦場というイメージではなく、魅力的な国として紹介するために、たくさんのイベントやプログラムを実施しました。

資金的に厳しく、今回はパートナー団体のインサーンから1人しか日本に招くことができませんでしたが、十分な成果を残すことができました。アリーさんが日本で過ごした2週間に、2回のワークショップ、2回の「イラクカフェ」、富山でのイラク料理会、上智大学でのシンポジウムのほか、数回の報告会を行いました。この間私はアリーさんと、家族といるよりも多くの時間を過ごし、一緒に日本の各地を訪れ、イラクへの熱い思いと、「80年代のイラン・イラク戦争以来ずっと戦争と非常事態の中にある人々の生活を少しでもよくしたい」という思いで、意気投合しました。イラクの人々が平和な生活を送っていた時代からあまりにも長い時間が経ち、人々にとって非常事態があたりまえになってしまっています。

昨年11月に行われた上智大学での講演昨年11月に行われた上智大学での講演

アリーさんがイラクに戻ってすぐ、マスメディアで広く流れている恐ろしいイメージとはまったく違うアラブの文化を紹介するため、アラブ音楽のコンサートを開催しました。
またこの1年間、たくさんの中高生や大学生向けに、中東の文化について、また国際協力について話をする機会がありました。若い人たちの心に語りかけ、中東の人間として彼/彼女らの質問に答えるという貴重な機会をいただきました。

私は変化をもたらすことができたでしょうか?あまり自信はありません。もし何かを成し遂げたとしても、どんな変化をもたらすことができたのか、わかりません。

私にわかるのは、この1年、自分の持てる力・これまでの経験のすべてを使い、イラクの子どもたちが自分らしく生き、彼らを取り巻くすべての先入観にも負けずに互いを受け入れることができるように支援してきたということです。日本での中東に対するイメージを変え、人々が先入観や既成概念にとらわれずに互いについて考える場を作ろうと、力の限り働き、いただいたすべての質問に対して、できるだけ客観的に、真摯に答えるように努力しました。

JVCでの1年はすばらしい経験で、2019年も引き続き活動できることをとてもうれしく思います。この1年でさまざまなことをして、たくさんのことを学びましたが、後悔や失敗も数多くあります。2019年には、もっとうまくやってゆきたいと思っています。

そして私に力を与えてくれるいちばん重要なものは、イラク事業の支援者のみなさんからいただく、たくさんの励ましです。
個人の支援者の方々、組織の中の支援者の方々、みなさんに感謝を申し上げます。私はみなさんから力をいただき、たくさんのことを教えていただいています。そして、私たちが取り組んでいることには意義があり、重要なことで、どんな困難があっても続けていかなくてはならないのだという励ましと、自信をいただいています。