\n"; ?> JVC - 「平和のひろば」を通じた平和醸成活動 - イラクウォッチ

「平和のひろば」を通じた平和醸成活動

2017年8月〜10月
イラク事業チームボランティア Ghamra Rifai(ガムラ) JVCイラク事業チーム補佐 中野 恵美
2018年3月 6日 更新

INSANとJVCが2017年8月~10月実施した「平和のひろば」の内容を報告します。

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1、参加者の選定
ラパリンなど5つの地区の学校に通っていない子どもの保護者にアプローチし、「ソーシャルアート活動」への参加者を募った。保護者とミーティングを持ち、活動について説明するとともに、参加者についての詳細な情報を得るようにした。 また、インサーンのコミュニティ委員会の協力で、対象の地区の人々にもチラシやバナーなどでプロジェクトについて事前に告知した。

参加者内訳 (計 65名)

女子 35名 男子 35名
アラブ系 50名 クルド系 10名 トルクマン系 5名
計 65名
2、送迎バス
治安が悪いため、子どもたちの安全を考慮し、送迎のバス便を用意した。
定員25人のバス1台で6地区を回り、65名の参加者を2回に分けて送迎した。
3、プログラムの実施

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インサーンの事務所がある建物内に開設した「平和のひろば」にて、10回にわたるアートセッションと、4回の校外学習を実施した。セッションは1回あたり 約3時間である(2時間のアートセッションと、1時間の精神科医による精神的ケア)。
セッションは、平和や人権の専門家や、アートソーシャルワーカーであるインサーンのスタッフらが運営し、インサーンのボランティアがこれをサポートした。精神的ケアは、精神科医が担当した。

【主な内容は次のとおり。】

8/15 ①平和構築についての意識啓発
②子どもたちのプロフィール(紹介)を作成
8/23 ①お面を使ったプレゼンテーション(子どもたちがお面を被って自分たちの意見を自由に表した)
②平和のメッセージ(輪になって目をつむり、互いの手に触れることで挨拶と平和への願いをお互いに伝えた)
8/29 ①お絵描きやハンドクラフト(工作)で平和を表現(アラブ系やクルド系の子どもたちは、お互いに相手の旗を描いた)
②日本から訪問したJVCのスタッフを、子どもたちが日本語のカードを使って迎えた)
8/31 ①「自分を信じ、大切にすること」をテーマにしたビデオ鑑賞のあと、精神科医による話。
10/2 小児貧血症センターの訪問(苦しんでいる人々を民族や宗派不問で助けること。子どもたちはこづかいの中から寄付をした。)
10/4 平和をテーマに歌詞を作り、一緒に歌った。
10/7 日本文化について(日本地図、歴史、和食、和服、文字など)
10/8 ①孤児院訪問(孤児たちと一緒に遊んで、参加者から孤児たちに平和の意味を説明)
②遊園地に行き、ゲームをしたり歌を歌ったりして遊んだ。
10/9 「すばらしい庭」を想像して工作の作品をつくり、「平和のひろば」と名づけた。
10/10 老人ホームの訪問(スタッフを手伝い、お年寄りのお話を聴く)
10/11 紛争解決をテーマにしたロールプレイ(寸劇)。子どもたちは寸劇を通して、対話することの重要性を学ぶとともに、演劇・舞台・シナリオ・登場人物・監督・観客など演劇に関する基礎知識を得た。
10/14 ①コミュニティの団結と平和共存に関するマンガを読んで、話し合い。
②平和や人権についてのイメージをどのように絵で表現するかというビデオを鑑賞。
10/15 平和共存に関するストーリーの読み聞かせ
(ファシリテーターがストーリーを読んで、子どもたちの意見を尋ねた。)
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  • 毎回、ソーシャルワーカーが子どもたちの様子や反応を観察し、適切に対応した。
  • 精神科医もセッションに参加、子どもたちの様子を観察し、適切な処置をとった。
  • 毎回、セッションの間にジュースとお菓子を出した。
  • ハディールさんの事例

    11歳のハディールさんは、IS(「イスラム国」)の軍事占領のため、2015年1月にハウィージャを出て、キルクーク市のランピールに避難して来ました。地元での爆弾によるショックのために、家から出る事が怖くなってしまい、学校も辞めました。ハディールさんの両親は、学校に行くように説得することがどうしてもできませんでした。

    2017年7月、INSANのソーシャルワーカーが避難民の訪問中にハディールさんに出会い、ハディールさんとその家族は、精神科医との面談を行いました。数回の面談の後、ソーシャルワーカーのあたたかい励ましを受けて、ハディールさんは学校に通うことができるようになりました。