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10月16日 キルクークで起きた衝突について

イラク事業担当/アフガニスタン事業担当 池田 未樹
2017年10月24日 更新

JVCがイラク現地NGOであるINSANと活動しているキルクーク市にて、16日未明に戦闘が起きました。

9月25日、イラク政府からの分離独立の是非を問う住民投票(投票の結果、9割以上が独立に賛成)が、クルディスタン地域において実施されました。クルド自治政府が、トルコやイラン、シリアの近隣国や米欧の反対を押し切って実施した独立の是非を問うこの住民投票は、JVCのパートナー団体であるINSANが活動するキルクークなどの係争地でも実施されました。この住民投票に反対するイラク中央政府は、この投票そのものの無効化を要求しました。さらに経済制裁などの圧力を強め、クルド自治区からの国際線もストップしています。JVCが11月に予定していたINSANスタッフの招聘について調整を進めていた矢先のことでした。

16日、イラク軍は油田、発電所、基地など主要施設を制圧しました。軍は市街地にも入り、クルド自治区の経済的な生命線である原油生産拠点(埋蔵量は 1,150 億バレル(世界第 3 位)イラク国内で最大)を奪い、締め付けを強める様子です。局地的な戦闘の情報はありますが、クルド自治政府の治安部隊であるペシュメルガは抵抗をせずに後退した様子です。この衝突を受け、多くの市民がバスなどでキルクークを離れクルド人自治区の中心都市アルビルなどへ向かっていました。INSANの中にもキルクークを離れたスタッフがいます。

翌日INSANの代表であるAreeさんと連絡が取れ、スタッフの安否確認が出来ました。普段、「scared」という言葉を使わない彼が「It was hard night yesterday, scared of attack」と言っていたことから緊張した状況が伝わってきました。他のスタッフからも「It was a very bad day」と連絡がありました。先月、イラク出張時にINSANのスタッフであるLamiaaさんが「この後(住民投票)、何か起こる気がする」と言っていたのを思い出しました。(彼女は具体的な状況を想定していなかったと思いますが)

現在、イラク軍は既に自治政府が実効支配していた係争地のほぼ全域を制圧しています。しかしクルド自治政府の治安部隊であるペシュメルガが再び奪還の準備を進めているとの情報もあり予断は許せない状況です。キルクークの状況については、引き続きイラク事業チームでウォッチしていきます。

【以下、11月21日追記】
NCCIからの声明
http://www.ncciraq.org/en/
NCCIとは
NCCIは開発の促進、人道的ニーズ対応、イラクの権利を尊重するためにNGOの行動を調整するイラクのネットワーク組織です。JVCVCも参加団体です。