今回は、5月8日の「アンバールの人道危機国連イラク報告書」よりアンバール県で起きている洪水被害についての記事を、翻訳/要約してお届けします(元記事:Iraq Situation Report Report#:23(2014年5月8日付))。
(翻訳担当:井川翔)
アンバール県の人道危機(洪水の状況)
重要項目
- 避難家族の数が72,325家族にまで増加
- 国連の支援がアブグレイブの洪水被災者に到達
- 洪水の影響と危険性を調査するために、国連の水理学タスクフォースが組織された
状況概要
イラクの治安部隊(ISF)と反体制武装勢力(AOG)との間での戦闘が、6ヶ月目に突入した。陸及び空中から、都市・砂漠の武装勢力の拠点へ攻撃が続いている。元アンバール県知事で同県議会議員のアル・ファダウィ氏は、シャイフ(部族の長老など)やファルージャ市民に対し、地域諸当局と連携して、紛争を停止させ、治安部隊の更なる軍事介入を避けるべきだと主張している。一方地元メディアによると、バグダードとアンマンでイラク政府(Gol)と反体制武装勢力との間で交渉が行われ、特定のグループがアルカイダ系の武装組織(ISIS;Islamic State of Iraq and al-Sham)との繋がりを断ち、ISISを県外に追放するための合意ができたと、アンバール県議会議長のアル・カルートが述べたということである。
アンバールにおける紛争は、ここ1ヶ月で、「水」が一方では標的として、また一方では武器として使わるという、新たな局面に入っている。ISIL(The Islamic State of Iraq and the Levant)は、ファルージャを流れるユーフラテス河近辺での戦闘で優勢となり、包囲されているファルージャの周辺地域やバグダードベルト地域を浸水させている。大量の水は、アブグレイブにも到達しており、バグダードにも届く恐れがある。従って、人道支援団体は、浸水で避難を余儀なくされている人々のニーズに新たに対処する必要に迫られている。最新の報告によると、水がひき始めているとのことである。
人道的対応 イラクの難民・移民省
イラクの難民・移民省(MoDM)の最新統計によると、国内避難民(IDP)の世帯数が、72,325に上っている。そのうち、50,922世帯がアンバール県内に避難中で、21,403世帯が県外に避難している。
アブグレイブでは、大量の浸水がひき始めており、5月6日時点に比べて水位が50㎝下がっているため、家が高台にある一部の避難民が帰宅できている。アブグレイブの市長は、5月6日に、2日以内に水が完全にひくと期待している。市長らは、危険な状況にある家族の救援および、学校やプライマリーヘルスケアセンター(地域診療所)の機能回復を支援することを、国連に対し要請している。
被災者たちを支援すべく、UNICEF及びWFPは、2回目の緊急物資を支給中である(衛生セット・ファミリー用水キット1,250セット、食料1,000箱)。WHOはまた、アブグレイブに医療物資が届いていることを確認した。
5月4日に予定されていた、アブグレイブの状況に関するイラク国民議会(COR)での会議は、延期になった。
イラク難民・移民省(MoDM)は、5月8日に緊急会議を行い、同省の副大臣が議長を務め、アブグレイブの洪水を中心に話し合った。会議には、国連及び国際団体、国内団体が参加し、現在の支援状況や将来的計画についてブリーフィングを行った。難民・移民省は、洪水により1,035世帯が避難したことを確認しており、アブグレイブ近隣のアルカルクで最悪な状況にある避難民に現金の支給を行っている。副大臣は、支援が二重にならないよう、調整が必要だと指摘した。議論は、支援活動に関する課題に集中し、復興には触れられなかった。