政治状況
1.6月14日。3月の議会選挙後初めてのイラク議会招集
しかし、議会議長の選出と大統領の選出は行われず。当選議員の宣誓のみで20分程度で休会に入った。憲法の規定上は新議会招集後大統領選出と15日以内の組閣なので、次のヤマ場は6月末かと思われる。[1, 2]
2.6月21日。 新首相選出を前に政治的空白が続く
既報の通り、3月の議会選挙後初めての議会が14日に招集されたが、議員の宣誓のみで休会に入った。新首相選出を巡る各党派の折衝はその前から既に始まっているが、結論が出ない状態で議論が続いている(その後29日には第一党イラキーヤのアラーウィ党首と第二党法治国家連合のマリキ党首のトップ会談が開かれたが打開策となっていない)。
この間、アラーウィ氏が現イラク政府による陰謀により暗殺に会いそうになった(米軍の警護により未遂に終わった)との報道もあり、アラーウィ氏のマリキ首相と現イラク政府に対する不信感も消えていない。[3]
3.6月23日。電力省の大臣が辞任
19日のバスラでの抗議デモに引き続き、21日にイラク南部のナシ−リヤでも、酷暑の中で停電が続くとして住民による抗議デモが行われた。これを受けて21日にワヒド電力相は辞任を表明した。
これに対してマリキ首相は22日に行った記者会見で、電力の供給改善には時間がかかるとして国民に忍耐を求め、電力相を擁護し辞表も受理しないで保留にしているとした。しかしイラク国民の怒りの声は大きく、最終的に23日にマリキ首相はワヒド電力相の辞表を受理した。[4, 5]
治安状況
1.6月16日。トルコ軍がPKK掃討のため北イラクを越境攻撃
冬期の雪の季節が終わると北イラクの山岳地域を拠点にしているクルド労働者党(PKK)の武装組織がトルコ国内への攻撃を活発化させ、これに対抗してトルコ軍が攻撃を仕掛けることは半ば年中行事のように行われているが、特にここ数週間の間の武力衝突が顕著になっている。[6]
2.6月18日。イラク軍に対する攻撃が継続的に発生 [7]
3.6月20日。銀行を狙った自爆攻撃事件
前週の13日に発生したバグダードの中央銀行襲撃(最終的に死者26名)に引き続き20日も銀行を狙ったと思われる爆破と襲撃事件 が発生。[8]
*イラク貿易銀行と内務省を狙ったと思われる2発の自動車爆弾による爆破攻撃。現場のヤルムーク地区はグリーンゾーンとも近接する地域であり、多数の検問所により治安の確保が図られている地域に当たる。この地域での事件発生により、イラク治安部隊による治安確保に疑問符がつけられている。
市民生活
1.6月20日。イラク、気温50度で停電に怒り 抗議デモで死者[9]
*バグダードの知人に電話で尋ねたところでは、バグダードでも40度台後半の猛暑の中で政府からの公共電力の供給に1日当たり数時間に過ぎず、一般家庭ではもちろんエアコンなどの冷房装置も使えない。夜間に室温30度台のところで自家発電装置(これも連続稼働は4時間が限度)による電力で扇風機を回して何とか寝ているとのこと。自家発電の燃料源となるガソリンも値上がりしており、スタンドには列ができ、闇市場も出来ていると言う。
世界難民の日(6月20日)関連のニュース
UNHCR イラク難民の10万人が再定住を申請(6月18日CNN)
UNHCR イラク難民の第三国定住の重要性を訴える(6月18日UNHCR広報)
*グテーレス国連難民高等弁務官は世界難民の日にシリアを訪問中。イラク難民の支援を訴えた。2007年以来のイラク難民の第三国定住プログラムの申請者が10万人に達したと発表したが、更に未だにイラク国内の避難民の数が150万人に及びうち50万人は避難民キャンプで生活をしているとして、一層のイラク政府および国際社会からの支援を求めている(同日のアルジャジーラのインタビューでグテーレス高等弁務官は、現在イラク国内18県中14県に現地事務所を置き、うち6県には国際スタッフを置いていると説明。しかし一方で国連の国際スタッフの警護はイラク駐留米軍に異存している実態もある)。一方で、ロンドンで難民申請を断られ、バグダードに強制送還されたイラク人難民申請者が英国の国境警備当局者に殴打されたと訴える事件も起きている。