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最近のイラク国内政治状況

イラク事業担当 原 文次郎
2008年12月19日 更新

地方議会選を巡る動向

当初、2008年10月実施を予定していた地方議会選挙が、根拠法の制定に手間取り延期され、最終的に、2009年1月31日実施予定で手続きが進められている。連邦議会での審議遅延は、クルド地域との境目であるキルクーク市を県都とするタミーム県の県議会の議席配分を巡り、クルド、アラブ、少数派のトルコメン、キリスト教徒の政治勢力の間での合意が取れなかったため。最終的にタミーム県での県議会選挙は先送りされ、今後の処置を決める特別委員会の審議結果(2009年6月末まで)と、キルクーク市の所属を決める直接投票(2009年末まで)の結果に任された。今後のクルド地域とアラブ地域の線引きを巡る争いの火種が残されている。

結局、1月末の地方議会選挙は北部のクルド3県とタミーム県を除く14の県での実施となる。

連邦政府の状況

2008年3−4月のバスラやバグダッド(サドルシティ)におけるシーア派の「犯罪者組織」(注:連邦政府側の呼称)に対する武力制圧作戦の一定の成功を背景にマリキ首相を中心としたシーア派与党の政権基盤が強化された。これに対してマリキ首相および取り巻きの政権アドバイザーを含むイラク首相府の独裁ではないかとの批判も出ている。

政権与党に対して主なシーア派の対抗勢力であるサドル派は閣僚ボイコットを継続しつつ、随伴する民兵組織の活動をいったん停止することにより、武装闘争路線をいったん弱め、組織内の引き締めを図ると共に、地方議会選挙を狙い、政治的な発言力を確保する路線を取った。

スンニ派は前回の連邦議会選挙ボイコットの影響もあり、議会内での議席数を十分に確保できておらず、次回の地方議会選挙と連邦議会選挙(2009年中に実施予定)での議席拡大を狙い、シーア派与党の批判を続けつつ、決定的な対立を避けている。

このような中で、行き過ぎたスンニ派(主に旧政権のバース党員)パージの影響で支障が出ていた行政組織についても、2008年前半よりパージの見直しの動きが出ており、後半に入ってようやく行政組織としての動きが改善に向かって来ている。

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