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アフガンウォッチ11月号

2016年度アフガニスタン事業インターン 戸澤 典子
2017年1月19日 更新

一層厳しい冬に直面するパキスタンからのアフガン帰還民

パキスタンとアフガニスタンの政治的緊張が高まる中、パキスタンに避難していた20万人のアフガン難民(難民登録有り、無し含む)が自発的にアフガニスタンに帰還するか、パキスタンから強制送還になるかの問題に直面しています。帰還民にとって、アフガンの冬が厳しいということだけでなく、ISIS(自称イスラム国)の攻撃の増加、さらに国連UNCHRによると、ソ連占領時代に257地域1587箇所に埋められた地雷も懸念される問題です。

自発的に帰国したパキスタン生まれのマヤ・ガッセンさん(16才)は"アフガンは安全でないから、戻るのが怖かった"と云います。ガッセンさんによれば、アフガニスタンへ帰還すると国連によって難民登録が抹消され、アフガニスタン政府の住宅支給まで、国連から資金・医療援助を受けます。今、ガッセンさん一家はUNHCRセンターに身を寄せていますが、一晩に何百人もの帰還者に溢れ、センター職員は人びとを暖めるためのヒーターやブランケットの確保に大わらわです。

UNHCRセンターに登録をすると家族一人当たり400ドル支給されますが、その金額は住居と食べ物を長期間賄うには十分ではありません。29年間、難民としてパキスタンで暮らし7人の子を持つロスタムさんは、「パキスタン警察がアフガン難民を自宅から引きずりだし強制送還しようとしている映像をテレビで見て、ここ(パキスタン)にはもう居られないと思いました。帰還するしか選択がなかった。しかし帰還したアフガン難民はアフガニスタンのどこにも行く宛がないのです。」と語っています。

また35年間パキスタンで難民として暮らし、アフガニスタンに帰還したロディンさんも「祖国に戻ったのにどこに行ったらよいのか、何をしたらよいのか」と云います。カブールにあるUNCHR(難民)登録抹消事務所の本国送還担当アシスタントのサッタ-さんによれば「私たちは帰還民を"自発的な帰還民"と呼んでいますが、実際は選択の余地がなかったから戻ってきたのです。自発的ではありません」と語ってくれました。

UNHCRによれば、2016年11月現在、帰還民は35万人に登り、年内には50万人以上が帰還すると云います。UNCHRカブール事務所ディレクターのアメルトゥンガさんは「アフガン難民とって、パキスタンも、アフガニスタンへの帰還も危険を伴うのです。パキスタンにいれば嫌がらせを受け、アフガンに戻っても厳しい状況なのです。祖国アフガニスタンを知らず帰還する第2世代、第3世代は何のために帰還したのか?政府は住居のない帰還者向けシェルターの準備すら出来ていないのです。」と語ってくれました。 そしてアフガンに戻ってきた若者の中には祖国で夢を見つけられず、反政府勢力のリクルートの犠牲になることもあります。 久しぶりの祖国での冬は、帰還者にとって一層厳しいものとなります。

2016年11月24日(Al Jazeera by D. Parvaz)原文英語

アフガニスタンを守る女性兵士たち

アフガニスタン国軍に従軍する女性兵士の訓練の写真集です。カブールの軍事訓練アカデミーは、アフガン国軍に従軍する熱心な女性達を作り出している一方、暴力の増加と保守的な社会という現実は若い女性兵士達の将来を不安にします。西側諸国と組む現政権打倒を企むイスラム過激派の攻撃に苦しみながらも、いま士官訓練を受けている150人の女性兵士は国家防衛の一部を担うことに誇りを感じていると語ってくれました。

2016年11月18日(Boston Globe - Reuters)原文英語

誰が敵?誰が友? アフガン市民にツケが回るNATO軍の誤爆

2016年11月10日、タリバンはマザリシャリフ北部にあるドイツ領事館を爆弾を積載した車両で攻撃しました。ドイツ人スタッフに被害は出なかったものの、警備をしていた多数のアフガン治安職員の安否は不明、また4人の市民が死亡、120人が負傷をしたとのことです。ドイツ領事館への攻撃は、NATO軍の空爆によってクンドゥス州に隣接する村の住民が30人死亡したことへの報復だとタリバンは表明しています。

これらの事件から見えるのは、アフガン市民がNATOの誤爆によって、タリバンの報復によって、双方から被害を被っているという現実です。本来、NATO軍はアフガンの人びとを守るためにタリバンを攻撃しているのですが、誤爆による市民への被害は人びとのNATOへの信頼を損ね、また市民を巻き添えにするタリバンの報復という外国軍基地への攻撃を引き起こしているのです。ガニ大統領はこの状況を真摯に受け止め、前カルザイ大統領のように市民を守るようNATO軍の夜間空爆の禁止をするべきだと記事は述べています。

2016年11月11日(Afghanistan Times)原文英語

アフガン唯一の男女混合マラソン大会、アフガン人女性の象徴

アフガニスタン中部バーミヤンで4日、同国唯一の男女混合の国際マラソン大会が開催され、ヘッドスカーフを身に着けた女性アスリートが山々を背に走り抜けていきます。アフガン人女性6人、イラン人女性を含む15人の女性達が男性アスリートと共に、かつて巨大な仏像があった断崖の麓からスタートをしました。保守的なイスラム教国のアフガンでは、公共の場における女性のランニングが政府転覆を図る破壊活動とみなされる中、女性のマラソンはまさに自由の象徴といえるのです。レースに参加する女性は「ランニングは自由をくれます」と語っていました。

2016年11月7日(バーミヤンAFP=時事

アフガンのスキー文化始まる!

スコットランド在住写真家ジェームズ・ロバートソンさんは一風変わったスキー休暇が過ごせて、ドキュメンタリー写真が取れるところ探していたところ、アフガニスタンのバーミヤンでスキーツアーができることを知り、行けないはずはないと2012年渡航を決めました。

カブールからおよそ西方180キロに位置するバーミヤン州にはただ標高の高い山々がそびえ立つだけで、リフトも整備されたゲレンデもありません。バーミヤンでのスキーは、まず1時間ほどスキー道具を持って"足"で山を登ります。地元の少年たちは、お洒落なスキーウェアや、スキー用の手袋を身につけてはいません。自分たちの身の周りの素材、例えば木板、ロープ、プラスチックを工夫して手製のスキー板を作り普段着でスキーを楽しんでいます。ロバートソンさんによれば、アフガニスタンにはそもそもスキー文化はなく、彼らはスキーに来た欧米人の使っていた道具を見よう見真似で作っているようです。確かに欧米人とアフガン人のスキー道具には雲梯の差があるかもしれません。でもスキーを楽しむ時間は両者に変わりはないのです。何より、バーミヤンの山に慣れたアフガン人のスキーの腕前は私達をはるかに凌ぐものです。ロバートソンさんは「バーミヤンのスキー写真はしばしば戦争の文脈でしか語られないアフガ二スタンの明るい側面を見せてくれます。また身近にあるものを創意工夫して楽しもうとする真摯な気持ちです。」

4年前から、"アフガン・スキー・チャレンジ"というスキー大会も行われています。数人の少女たちも、ある一定の場所では女性インストラクターとスキー大会の練習をすることができます。彼らの夢はオリンピックにアフガンスキーチームとして参加することです。ロバートソンさんが出会った地元スキーヤーのハラファンさんとフセインさんは2018年冬季オリンピックを目指し、スイス・サンモリッツでトレーニングを積んでいます。

ロバートソンさんのウェッブページはこちらから「Off Piste in Afhganistan」 アフガニスタンでのスキー写真が見れます。

2015年10月16日(ナショナルジオグラフィック by Alexa Keefe)原文英語