多くのメディアで報道されましたように、2015年10月3日未明、アフガニスタン北部の都市クンドゥズにある「国境なき医師団(MSF)」の病院が米軍の「誤爆」を受け、多数の職員と患者が死亡・負傷する事件が発生しました。同じくアフガニスタンで診療所を運営するJVCにとっても、この事件は人ごとではありません。アフガニスタンで活動するNGOのネットワーク団体ACBARもこの事件を非難する声明を発表しています。今月のアフガンウオッチでは、まずこの事件に関連する記事をまとめました。
アフガニスタンの治安情勢は相変わらず不安定です。毎週のように自爆テロや戦闘のニュースが流れます。アメリカのオバマ大統領は、2016年末に予定していた米軍のアフガニスタン完全撤退の延期を発表しました。10月26日には地震も起きました。こうした記事をまとめていると、暗い気持ちにならざるをえません。しかしそのような状況にあっても、アフガニスタンの人々には日常の生活があります。アフガンウオッチは、少しでもアフガニスタンの日常生活をお伝えできるように、現地の新聞からも記事を集めてみました。お読みいただければありがたいです。
クンドゥズの「国境なき医師団(MSF)」運営の病院を米軍が誤爆
2015年10月3日未明、アフガニスタン北部の都市クンドゥズで国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」の病院が米軍に誤爆され、多数の職員と患者が死亡・負傷する事件が発生しました。10月15日時点で死者の数は24人にのぼっています。オバマ米大統領は声明で弔意を表明、徹底的な調査を実施すると約束し、MSF会長への電話で誤爆を認めて謝罪しました。また米国防総省の報道官は、負傷者と死亡者の遺族に「見舞金」を支払うことを発表しました。米当局者は、初期調査の結果、米国政府は現場が病院だと認識していたことがわかったと明らかにしましたが、情報が軍の適切な担当者の元に届いていなかったといいます。国連人権高等弁務官は、戦争犯罪に当たる可能性もあるとして空爆を強く非難しました。
- アフガンの「国境なき医師団」施設空爆、死者 米軍攻撃巻き添えか(2015年10月3日 CNN.co.jp)
- アフガン病院誤爆 死者19人に、オバマ氏が徹底調査を約束(2015年10月4日 CNN.co.jp)
- アフガン病院誤爆 国連、「戦争犯罪の可能性も」(2015年10月5日 CNN.co.jp)
- オバマ大統領、病院誤爆で国境なき医師団に謝罪(2015年10月8日 CNN.co.jp)
- 米、遺族らに「見舞金」支払いへ アフガン病院誤爆(2015年10月11日 CNN.co.jp)
- 米軍誤爆の死者24人に=アフガン(2015年10月15日 時事ドットコム)
- アフガン誤爆、米当局は病院を認識 現場に伝わらず 初期調査(2015年10月17日 CNN.co.jp)
ヘラートでサフランの収穫はじまる
アフガニスタン西部のヘラート州ではサフランの収穫が始まりました。およそ1000ヘクタールの土地に140トンのサフランの種がまかれています。世界には約300種類のサフランがありますが、ヘラートのサフランは独特の色と香りがあり高級品とされています。高値で取引されるサフランは、ケシ栽培撲滅をめざすアフガニスタンにとって良い代替作物となります。
2015年11月8日 The Daily Outlook Afghanistan(原文英語)
アフガンの地震、死者364人に パキスタンが最多
26日に発生したアフガニスタン北東部を震源とする地震で、同国や隣国パキスタンなどで確認された死者は28日までに364人となりました。負傷者も2000人を超えました。
アフガンでM7.5の地震、死者229人 周辺国にも被害
アフガニスタン北東部で26日、マグニチュード(M)7.5の地震が発生しました。同国や隣国パキスタンで少なくとも229人が死亡し、建物が倒壊するなどの被害が出ています。
米軍、アルカイダの大規模基地を長期間知らず
アフガニスタンで反政府武装勢力や過激派掃討に当たる米国が、アルカイダがアフガン南部の2カ所に築いた大規模な軍事訓練基地の存在を半年以上も知らず、同基地破壊の作戦が遅れていたことが22日までにわかりました。
米・アフガン軍が合同作戦、アルカイダ訓練拠点を破壊
アフガニスタン駐留米軍は18日までに、アフガン南部カンダハル州で米軍とアフガン地上軍が大規模な合同軍事作戦を実施し、国際テロ組織アルカイダの訓練拠点を壊滅させたと発表しました。
オバマ大統領、アフガン駐留米軍の撤収延期を発表
オバマ米大統領は15日、米軍のアフガニスタン駐留を2016年以降まで継続すると発表しました。撤収の延期を発表するのは今年に入ってこれで2度目。任期中にアフガニスタンでの戦争を終結させるという公約が果たせないことを認めた形です。
タリバーン、アフガン要衝から撤退も目標達成を強調
反政府勢力タリバーンはこのほど、アフガニスタン北部の要衝クンドゥズからの撤退と、同市での戦略目標の達成を宣言する声明を発表しました。タリバーンは先月、クンドゥズをほぼ掌握することに成功しましたが、米軍の支援を受けたアフガン政府軍が先ごろこれを奪還していました。