治安
1) ISAF所属大型ヘリが撃墜される。米兵を含む38人死亡。
8月5日夜、ISAF(国際治安支援部隊)所属の大型ヘリがカブール近郊で撃墜された。米軍特殊部隊SEALSを含む38人が死亡。2001年の侵攻以来一度の戦闘での外国軍死亡者数では最多となった。これが「タリバンの罠」だったとアフガニスタン政府高官が証言しており、反政府勢力の組織的行動力が高まっていることが見える。このニュースはアメリカで非常に大きく報道された。また、一ヶ月間の米兵死者数としては過去最悪となった。
http://www.reuters.com/article/2011/08/10/us-afghanistan-crash-idUSTRE7792ET20110810 (REUTERS)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110831/amr11083121490009-n1.htm (MSN産経ニュース)
2) カブールで英文化交流機関、襲撃される。
首都カブールにある英国政府文化交流機関ブリティッシュカウンシルの事務所が19日、武装集団の襲撃を受けた。事務所は爆弾攻撃を受け、その後銃撃戦となった。警察や外国人ら10人が死亡。8月19日は1919年アフガニスタンの独立記念日にあたり、武装勢力はその時期を狙ったと思われる。タリバンのスポークスマンZabiullah Mujahidは英ガーディアンの電話インタビューに答え「英国からの独立を忘れないために攻撃を行った。そして我々はまた独立する」と話した。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/aug/19/taliban-hits-british-council-kabul (The Guardian)
政治・社会
1) カルザイ大統領、二期で大統領職を退くと発言
ハミッド・カルザイ大統領は11日、三期目の大統領選には出馬しないことを明言した。アフガニスタンの憲法は大統領職在任は二期までと規定してあるが、大方の予想として三期目に出馬するのではないかと見られていた。カルザイ氏は「アフガニスタンの利益にならない」と話していた。
カルザイ氏はタリバーン政権崩壊後の01年末に暫定政権議長に就任。04年の大統領選で当選した。09年には不正疑惑がありつつも、大統領に再選された。
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/afghanistan/8695924/Hamid-Karzai-says-he-will-not-seek-third-term.html (The Telegraph)
2) イラク、アフガニスタンで4.6兆円の戦費を無駄遣い アメリカ
米国の超党派の検証委員会は8月31日、イラク、アフガニスタンの戦争に関する民間業者との契約実態に関する報告書を発表した。過去10年の契約のうち、約610億ドル(約4兆6千億円)が不正行為などが原因で浪費されたとしている。日割りにすると1日当たり1200万ドル(約9億2400万円)になる。
米国は戦争の民営化を進めており、その暗部が数字として現れる形となった。米ブラウン大学の報告によるとアメリカのイラク、アフガニスタン両侵攻作戦に対する戦費は軍人への保障も入れると最大4兆ドル(307兆円)に達するとしている。
http://edition.cnn.com/2011/POLITICS/08/31/wartime.contracting/index.html?iref=allsearch (CNN)
http://www.47news.jp/CN/201109/CN2011090401000344.html (共同通信)
総論・オピニオン
今月11日で、2001年のアメリカ同時多発テロ事件から10年になる。世界貿易センタービルとペンタゴンで3000人近くが亡くなり、同年10月7日には米軍を始めとする各国軍隊がアフガニスタンに侵攻現在に至るまでその戦火は収まっていない。
「対テロ戦争」という言葉が生まれ、多くの国がそれに参加してきた。日本も例外ではない。時の小泉純一郎首相はアフガニスタン侵攻にいの一番に賛成し、「テロ対策特別措置法」を制定。インド洋に海上自衛隊の補給艦を派遣し、2010年1月まで軍事作戦を支え続けた。
しかし、最近「対テロ戦争」という言葉を耳にすることがとんと少なくなった。チュニジアのジャスミン革命を皮切りに、中東イスラム諸国における焦点は市民の手による民主化に移っていった。また、アメリカの政権が共和党から民主党に変わり、政策が変わったことも大きな要因だ。バラク・オバマ米大統領は経済的な問題を理由にアフガニスタンから撤退を開始し、徐々に「対テロ戦争」という言葉を世間からフェイド・アウトさせていった。「対テロ戦争」という言葉は以前ほどの重みを失い、あれだけずしりとしていたものが、前政権の失敗した政策を表す言葉としか取られられなくなった。
「対テロ戦争」という言葉に翻弄されたこの10年は何だったのだろうか。この10年を機に一度振り返るのも悪くないだろう。
余談・拙著発刊のお知らせ ジャーナリスト白川徹 「悲しきアフガンの美しい人々」
このコラムを書いている白川徹の本が8月末に発売になりました。帯はアジアプレス・インターナショナルの野中章弘代表から頂きました。
2006年から2011年までのアフガニスタン取材をまとめた、この6年間の取材の集大成です。 本文の多くは「東京新聞」「高知新聞」「AERA」「SPA!」などに掲載された記事を再編集したものです。米軍従軍取材や、NGO取材、難民取材などに書きおろしを加えた全4章です。
9・11から今年で丁度十年の節目にあたります。
アフガン人の視線に立ち、「アフガン戦争」という惨事の事象を、人々に寄り添いつつ取材してまいりました。
この本が少しでもこの戦争を考える材料になれば幸いです。
著者経歴
1984年東京生まれ。オーストラリア留学を経て2006年からアフガニスタンを中心に取材を始める。2009年までアジアプレス・インターナショナルに所属。その後フリー。これまでに「東京新聞」「高知新聞」「AERA」「SPA!」「DAYS JAPAN」「週刊金曜日」、NHK、関西テレビ、BS11などで発表。
