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思わず「手」が出る

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2017年1月30日 更新
イラスト/かじの倫子イラスト/かじの倫子

以前どこかで読んだのだが、世界人口の3分の1はフォークやスプーンで食事をし、3分の1は箸、残り3分の1は手で食べているという。大雑把な数字だが、なんとなく理解できる。箸が3分の1にもなるのは中国の巨大人口があるからだろう。

ここアフリカでは「手」が主流。アラブ圏の影響が強いスーダンも、やはり手で食べる。私も現地スタッフと一緒の食事では手を使う。「素朴」で「原始的」な食べ方に思えるが、そうではない。ひとつの文化だし、それに手で食べるのは思うほど簡単ではないのだ。

スーダンの家庭料理では、ソルガム(イネ科の穀物)の粉をお湯で練りあげた「アシーダ」に、シチューをかける。指先でマッシュポテトのようなアシーダをつまみ、シチューをからめて口に運ぶのだが、これがなかなか難しく、ポロポロこぼれてしまうのだ。スーダンの人たちは指先でクルッと丸く固めながら取るのだが、私は少しずつしか取れない。「 なんだ、どうしてもっと取らないんだ? 口に合わないのか?」食事に招待されると、よくそう言われる。もちろんそうではないのだが、それではと無理にたくさん取ると、今度は服の上にこぼれて、「あーあ、なにをやってるんだ」と笑われてしまう。日本人が箸の持ち方を気にするように、手で食べるにも、正しいやり方があるのだ。

さっぱりうまくならない私も、手で食べる習慣だけは確実に身に着けたらしい。一時帰国時に日本のレストランに入り、おいしい料理に夢中になっていると、時おり箸があるのも忘れて右手が出てくる。いかんいかん、ここは日本だっけ...

No.323 イラク戦争は共存の社会を壊し憎悪を生み続けている (2016年10月20日発行) に掲載】