猫じゃありません、家族です
娘が3才の頃、2人目を流産してしまった。たまたま、知り合いが子猫の里親を探していたので、寂しさついでに娘と見に行った。白、雌、尾と肉球が黒。娘は大切にしていた「ピンチロ」と名付けたピンクと白の猫のぬいぐるみを差し出し、「交換ね」と言った。遊ぶと体が紅潮し耳がピンクになるので、名前はやはり「ピンチロ」。その後に生まれた2人の息子は、彼女たちの弟として約20年暮らしてきたことになる。
数年前、そのピンチロが家族全員に看取られて逝ってしまった。本当に悲しくて寂しくて、これほど辛いならもう飼うものか、と思いしばらく過ぎた頃、その現場に出くわしてしまった。人だかり、子猫の大きな鳴き声。素通りできなかった。その子猫は体中接着剤をつけられて真っ黒に汚れてどんな毛色なのかもわからない。誰かが110番しておまわりさんがやってきた。そのまま保健所に連れて行かれるという。「私が引き取りま す!」と迷うことなく言っていた。「 母親が猫を拾ってくるなんて!普通は子どもが拾ってきて親が困るものでしょう」と、よく言われる。しょうがないじゃない、「彼」の命は、私次第だったのだから。そして今は、玄関を開けると「だっこ~」と言わんばかりに私の首にしがみついてくる。にゃんとも「かわいいやつ」なのだ。
JVCには私以上の猫好きスタッフが多い。「本人のためにもう一人どう? 一人じゃ寂しいわヨ」「うちの子人見知りだから...」「じゃ、まずお試し(保育)してみる?」もちろん、猫の「彼」の話である。