パレスチナに赴任した直後の頃に最大のミステリーのひとつだったのが、「女性はどんな髪型をしているのか?」ということだった。いつもヒジャブと呼ばれるスカーフで髪を覆い、髪型が一切見えないからである。活動の一環でガザの家庭を突撃訪問するようになり、自宅でヒジャブを取った女性たちの姿を初めて見たときは、マジマジ見入ってしまったのを覚えている。
ガザ女性たちは結構な割合で髪を染めている。茶色だったり金髪だったり、いわゆる派手目な色を好んで、既婚者は大概セミロング、若い女性たちはロングで、一本の三つ編みにしていたり、大き目の髪飾りを付けたりする。日本人に比べると、くせ毛や天然パーマ(いい具合にくるくるしている)が多く、目鼻立ちもしっかりしていて、まつ毛も長いせいか、ヒジャブを脱ぐと素晴らしくゴージャスな感じが漂う。
一方、ヒジャブを着用中はおしゃれ心が無いかというと、そうではない。過去10ヵ月間の観察によると、ヒジャブにも3~4種類の被り方があって、2枚を重ねるようにして色のコントラストを楽しんだり(これが最近の流行で、内側に被るものは無地、外側は柄もの)、頭の形をよく見せるために、内側の髪型にわざとボリュームを持たせてヒジャブを被ったり(いわゆる日本女子の「モリ」である)と、髪が見えないなら見えないなりのファッションを楽しんでいる。美しく見せるために女性たちはどこの国でも頑張るのだ。
彼女たちのそんな心意気に触発されて、三十路に差し掛かった私も自分なりのオシャレに挑戦してみるものの、どうもうまくいかない。ウーム、やはり慣れないことは実践よりも見て楽しんだ方がよさそうだ、と自分に言い聞かせる日々である...。